インドネシア、中国との緊張高まる南シナ海南端で大規模演習
10月6日、インドネシア空軍は、中国が領有権を主張する南シナ海の南端で大規模な軍事演習を実施した。写真はC130輸送機からのパラシュート降下訓練を行うインドネシア兵。ナトゥナ諸島のラナイで6日撮影(2016年 ロイター/Beawiharta)
インドネシア空軍は6日、中国が領有権を主張する南シナ海の南端で大規模な軍事演習を実施した。フィリピンの突如とした米国離れが招いた域内の先行き不透明感を、さらに強めている。
インドネシアのジョコ大統領はナトゥナ諸島のラナイで、何百人もの軍当局者とともに、戦闘機約70機によるドッグファイト(空中戦)や沿岸目標物への爆弾投下を含む演習を視察した。
「大統領は、戦略的に重要なすべての周辺諸島は、空であれ、海であれ、陸であれ防衛強化されなければならないとの方針を持っている」と国軍のガトット司令官は報道陣に話した。
「われわれの国は傘を必要としている。隅から隅まで守らないといけない」
ルトノ外相はラナイでの記者会見で、演習が「定期的」なものだと述べたが、それは過去最大の軍事演習であり、ジョコ大統領が6月にナトゥナ諸島沖の軍艦上で開いた閣議に続くものだ。
インドネシア当局者は、当時のジョコ大統領の軍艦搭乗が、天然ガスが豊富な南シナ海南端の海域で同国海軍が中国漁船を拿捕するなか、中国に対する強烈なメッセージになったと述べる。
中国はインドネシアが主張するナトゥナ諸島の領有権を争っていないが、その近郊にあるナトゥナ海と呼ばれる海域において「重複する領有権主張」があると指摘し、インドネシアを怒らせた。
中国は、年間5兆ドル(約520兆円)規模の貿易路となっている南シナ海ほぼ全域の領有権を主張している。ブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムも同海での一部領有権を主張している。
インドネシアは南シナ海での領有権争いには加わっていないが、中国が同海での領有権主張のために設定した「九段線」に、ナトゥナ諸島周辺水域が含まれているとして反発している。