好調ヒラリーを襲う財団疑惑
では、いま再びニュースになっている理由は?
最近、国務長官時代のクリントンの側近とクリントン財団幹部が交わしていた一連のメール内容が公開された。ヒラリーの率いていた行政機関と、彼女の名前を冠する財団との関係を示すものだが、そこから浮かび上がる構図はあまり見栄えのいいものではない。
例えば09年のメールで、クリントン財団幹部のダグラス・バンドは、財団に大口の寄付をしたレバノン系ナイジェリア人富豪を、国務省のレバノン専門家に紹介したいと依頼していた。クリントンの側近フーマ・アベディンが役に立てそうだと示唆すると、バンドはすぐに駐レバノン米大使に電話してほしいと応じた。「非常に重要な案件だ」と、バンドは付け加えた。
AP通信は国務長官就任以来2年間のヒラリーの公式日程を分析し、彼女が面会したアメリカや外国の政府関係者を除く民間人の半数以上がクリントン財団か、財団の国際プログラムに寄付をしていたと結論付けた。85人の寄付者が総額1億5600万ドルを寄付している(ヒラリーは、財団に総額1億7000万ドルを寄付した少なくとも16カ国の外国政府代表者とも会談しているが、この数字には含まれていない)。
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寄付者に見返りがあったという証拠は?
確かな証拠はないが、それで安心できるわけではない。クリントン夫妻は、直接の見返りがなかったとしても常に疑問の残るシステムをつくり上げた。その点が問題だろう。
寄付者と会うのはなぜ悪い?
確かにワシントンで行われる決定には、優先待遇が絡んでいる可能性が常にある。議員や大統領は寄付者と頻繁に会い、大口ともなれば大々的にもてなすことが普通だからだ。
だがヒラリーは特殊な立場にあったし、今もそうだ。企業や外国団体は彼女の選挙陣営だけではなく一族の財団に寄付することができた。他の候補に対しては直接できないことだ。
当時彼女がアメリカの外交官として最高の地位にあり、今はさらに国の最高責任者を目指しているということから、利益相反の度合いはさらに深刻になる。
既にクリントン夫妻は、企業と外国人からの寄付の受付中止を発表したはずだが。
ビルは先々週、ヒラリーが本選挙に勝った場合には、企業と外国人からの寄付の受け入れを中止すると発表した。だが、ヒラリーが当選するまでは受け入れる。クリントン財団の「利益相反」の恐れは低くなるとしても、ゼロになるわけではない。
クリントン夫妻は、ヒラリーが当選したら財団の寄付受け入れについて自主的に制限を設けるとしている。だがこの約束は、外国の後援者が後で見返りを受けられるという認識の下に大統領選前に寄付をすることを妨げるものではない。