トランプの「ロシア通」外交顧問カーター・ペイジとは何者?
2015年2月には「グローバル・ポリシー」への寄稿のなかで、米国の対ロ政策は「見当違いで挑発的」だったと述べ、ウクライナ紛争を引き起こした責任は米国務省にあるとした。
ロシア国際問題評議会のアンドレイ・コルトゥノフ所長によれば、トランプ氏は、民主党が推進する外交政策が機能不全で脆弱(ぜいじゃく)であることを示したいと考えているという。コルトゥノフ氏はまた、ペイジ氏と個人的な面識はないが、そうしたトランプ氏の狙いにかなった意見を持つ人材は役に立つと指摘する。
「米国には、ウクライナ問題にウンザリしている人々がいる。ウクライナは米国にとっての問題ではなく、米国政府が関与すべきではないと考えているのだ」とコルトゥノフ氏は言う。ロシア国際問題評議会はロシア外務省と関係が深いが、同氏は独自の見解も表明してきた。
ヒックス氏の上述のようなコメントとは裏腹に、トランプ陣営の元幹部であるコーリー・ルワンドウスキー氏はロイターに対し、6月末に陣営を離れた時点では、すでにペイジ氏はトランプ氏にとって「正真正銘の」アドバイザーになっていたと話す。
総勢5人で構成される外交政策チームのメンバーであるワリド・ファレス氏は、8月19日にロイターの取材に応え、ペイジ氏がトランプ氏へのアドバイスを続けていると話した。
中堅バンカー
グローバル・エナジー・キャピタル社のウェブサイトには、ペイジ氏はメリルリンチのモスクワ支社開設の責任者であり、世界最大の天然ガス生産企業であるガスプロムや、すでに消滅した電力会社「RAO UES」などのロシア企業が絡む「重要な取引に関するアドバイザー」であったと書かれている。
ロイターは、モスクワで勤務していたメリルリンチの元従業員4人(そのうち3人はモスクワ勤務の時期がペイジ氏と重なる)、さらに業務上メリルリンチと競合するモスクワの銀行関係者3人に取材した。