決死の亡命を果たした北朝鮮公使、韓国で約束される仕事と警護
「一般の脱北者にとって、韓国で仕事を見つけたり、教育を受けたり、家族をつくったりすることは困難だ」と、2001年に亡命し、今は一般の脱北者を支援するため、チェ氏の団体で働くSeo Jae-pyoung氏は語る。
「人々が言うほど、それは簡単なことではない」
地位の高い脱北者に対しては、この過程が違ってくる。
元保険会社員の金氏は、シンガポールの韓国大使館に亡命してから24時間以内に韓国に到着し、尋問を受けた。北朝鮮の朝鮮人民軍出身のチェ氏は、諜報機関の隠れ家で1人で尋問を受けた。テ氏も同じ扱いを受けることになるだろう。
全体としては、2011年末に父親である金正日氏が死去したのを受けて金正恩氏が権力を掌握して以来、韓国への脱北者の数は減っている。
しかし、2016年1─7月の脱北者数は、前年同期比約15%増の814人に上った。この中には、中国浙江省寧波市にある北朝鮮レストランで働いていた13人も含まれている。
専門家は、北朝鮮支配層出身の脱北者の割合が高まっていると話す。それは、金正恩氏が実力者で叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を2013年に処刑し、平壌のエリート層を動揺させてから始まったと、元保険会社員の金氏は指摘する。
「過去には、このようなエリート層出身の人々がここにやって来るとは想像できなかっただろう」と、金氏は語った。
(Ju-min Park記者、James Pearson記者 翻訳:高橋浩祐 編集:伊藤典子)