アメリカは大粛清を進めるトルコと縁を切れ
ここ2~3年で、報道機関の弾圧や政敵への妨害行為は着実に悪化していた。クーデターが起こる以前から、強権化の傾向は危険なレベルに達していたのだ。今日のトルコは、欧米の民主国家よりプーチン政権下のロシアに近い。
国家の安全保障が本当に重大な危機に直面した場合、価値観の相容れない相手とも同盟を組まざるを得ないこともある。第2次大戦中、イギリスとアメリカはナチスドイツのヒトラーに対抗するために、スターリン体制下で飢えと粛清が続くソ連と手を組んだ。しかしこのような倫理上の妥協は例外中の例外だ。
トルコを守るのはいやだ
エルドアンがぬけぬけと独裁体制を築こうとする中で、アメリカがトルコと緊密な関係を維持する最大の理由は、(9.11後の対テロ戦争から今日の対ISIS掃討作戦まで)中東地域への軍事介入をトルコが支援してくれたからだ。だが軍事介入の失敗が明らかで、トルコも同盟に値しないとわかった以上、アメリカ政府はトルコとの関係を見直さなければならない。
NATO条約第5条のトルコに対する適用も、直ちに破棄すべきだ。第5条は集団防衛条項で、NATO加盟国が攻撃された場合、これをすべての加盟国への攻撃と見なして、アメリカも防衛にあたる義務があると規定している。
アメリカの安全保障にとって不可欠でもないのに米兵が命懸けで防衛するのは、それが自由な民主主義国であってもありがたくない。まして隠れ独裁国家を守るためにリスクを負うなど最悪だ。
アメリカがトルコに関して直面しているのはまさにそうした状況だ。ますます手に負えなくなっているエルドアンとは、もっと注意深い関係を築かなければならない。
This article first appeared on the Cato Institute site.
Ted Galen Carpenter is senior fellow for defense and foreign policy studies at the Cato Institute.