イギリスがEU国民投票で離脱を決断へ──疑問点をまとめてみた
ただ、「残留派=高い教育を受けた人、グローバル化の恩恵を受ける人、国際的な経験が豊富な人、一定の収入がある人、若者層」であり、一方は「離脱派=労働者階級の一部、それほど教育程度の高くない人、グローバル化の恩恵を受けない人、一部の高齢者」という形に割れたことから、まさに階級の差がくっきりと出た。
──残留派のキャメロン首相は辞任する?
今回の結果が出る直前まで、首相は辞めないことを明言しており、昨晩、開票が始まった時点でも内閣や保守党幹部が「キャメロン首相の続投」を支持する書簡が公表された。
しかし、残留派のキャメロン氏が離脱に向けての動きを主導できるかというと疑問符が付く。自らが辞任を表明する可能性が高い。
──手続きはどうなる?
離脱の場合、下院でこの問題を議論する見込み。
離脱交渉を開始するために、リスボン条約の第50条を発動させると、2年以内に交渉を終了する必要があるという。
しかし、キャメロン首相がいつこの条項を発動させるのかは不明。事前にEU他国との交渉をしてから、発動させるという見方もある。
──EUとイギリスの関係はどのように変わる?
離脱後、イギリスが単一市場にこれまで通りに加盟できるのか、一切シャットアウトされるのかなどは、EUがどのように意思決定をするかで変わってくる。
EU域内に住むイギリス人、そしてイギリスに住むEU市民の処遇も明確には決まっていない。追い出されることはないとは思うがー。
──経済はどうなる?
24日早朝時点ではポンド安。今後、株価市場の下落も含め、相当の大波が来る可能性がある。
しかし、英イングランド銀行(中央銀行)が市場介入などを行うことでショックが緩和されることもありそうだ。
いずれにせよ、初期の負の影響は避けられない。
──スコットランドは?
残留派が多いと言われるスコットランド。2014年に住民投票をし、僅差でイギリスから離脱しないという結果が出たばかり。イギリスがEUから離脱すれば、スコットランドで再度住民投票が行われる可能性は否定できない。ただし、これもEUがどう出るかで状況は変わってくるだろう。