最強の味方のはずのビルがヒラリーの足手まとい
ビルが妻の選挙応援で暴言を吐いたのはこれが初めてではない。先月には「過去8年間のひどい遺産」と、オバマ政権を否定するような発言をした。2月にも、今のアメリカに「変化を起こせる大統領はいない」と口走った。こういう失言の数々は高齢のせいかもしれない。確かに耳は遠くなり、体力も衰えている。脳の働きも衰え始めたのだろうか。
だが思えば、08年の大統領選でも似たようなトラブルを起こしていた。サウスカロライナ州の予備選でオバマがヒラリーに勝ったとき、ここではかつて泡沫候補だった黒人指導者ジェシー・ジャクソンも勝ったと発言。オバマの躍進も大したことではないと片付けようとした。
オバマがイラク戦争に正しく決着をつけたというのは「これまで聞いた中で最大の作り話」と語り、オバマ陣営に「人種カードを切られた」と不満を漏らしたこともある。ただしヒラリーが撤退してからは、ビルもオバマを応援する立場に転じ、民主党大会で名演説をするなど、立派な振る舞いを見せていた。
どうやら彼は、妻が頑張っていると妨害したくなるらしい。妻に追い越され、否定されるのが怖いのかもしれない。いずれにせよ、ヒラリーは夫を黙らせるべきだ。離婚できないならクビを切ればいい。
© 2016, Slate
[2016年4月19日号掲載]