ソウルを襲う北朝鮮「ビラ爆弾」の恐怖
さらに、韓国では脱北者団体や対北朝鮮NGOが対北朝鮮ビラを風船で飛ばすなど、民間までが「参戦」している。NGOのビラ18万枚は風船によって北朝鮮側に飛ばされた。北朝鮮の体制批判からはじまって、核実験、ミサイル発射などを非難する内容だが、ビラを飛ばす活動を行っている自由北韓運動連合のパク・サンハク代表は「5月までに1000万枚を飛ばす」と語った。
南北両政府の軍事演習や舌戦に加え、民間も交えた宣伝戦まで激化する状況は、収まる気配を見せていない。そして、現在の対立状況が危険水域を越えた時、金正恩氏が思わぬ軍事行動に出ないとは誰も言い切れない。
[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ――中朝国境滞在記』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)がある。