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コンプライアンス三菱自、燃費試験データを「意図的な」不正操作、軽4車種62.5万台
今回発表の対象車種以外でも国内法とは異なる試験方法でデータを測定
4月20日、三菱自動車は20日、軽自動車の「ekワゴン」や「ekスペース」、日産自動車向けに生産している「デイズ」と「デイズルークス」の計4車種で、実際よりも燃費をよく見せる不正を行っていたと発表した。対象台数は計62.5万台に上る。写真は会見する相川哲郎社長。都内で撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
三菱自動車<7211.T>は20日、2013年6月から生産している軽自動車の「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車<7201.T>向けの「デイズ」と「デイズルークス」の計4車種で、実際よりも燃費を良く見せる不正を意図的に行っていたと発表した。対象は計62万5000台。実際の燃費よりも5―10%よく見せる不正行為があったという。4車種は同日午後、生産と販売を停止した。
燃費試験のために国土交通省にデータを提出する際、複数のデータの平均値を伝えるべきところ、意図的に一番有利なデータを伝えていた。社内調査では、その他の車でも2002年から国内法で定められた方法とは異なる試験方法でデータが取られていたことも判明。国内外の車両を調査し、外部有識者のみによる調査委員会を設置して問題の全容解明に取り組む。
相川哲郎社長は同日夕、国土交通省で開いた会見で陳謝。13年6月当時の担当部長(60代、男性)が不正を指示したことを認めているが、不正を行った理由、不正に関わった人数などの詳細は現在も調査中という。相川社長は「よい燃費に見せようという意図があったのは確かだ」との認識を示した。会見に同席した中尾龍吾副社長は、燃費に関する社内目標値(1リッター当たり29.2キロ)を達成するために不正をした可能性が大きいとの見解を示した。
相川社長は「経営として責任を感じているが、まずは問題の解決と再発防止の道筋をつける」として辞任は否定。業績への影響については、どこまで問題が広がるか全容が見えず、これから精査することになるが、「かなりダメージがあると思う」と述べた。該当車の所有者に対しては「誠実に対応する」として今後、具体的な方法を検討する。エコカー減税の対象から外れて所有者の負担が生じる場合などは三菱自が支払うなどの対応を取る。
三菱自の不正は、提携先の日産自が次期車開発のために現行車の燃費を測定した際に発覚した。三菱自は日産自に対する補償についても今後、協議する。日産自は「現時点では三菱自との協業関係に変更はない」(広報)としている。
国土交通省は20日午後、道路運送車両法に基づき、三菱自の名古屋製作所(愛知県岡崎市)の技術センターに立ち入り検査を行うとともに、27日までに燃費不正に関する詳細を報告するよう指示した。同省によると、燃費検査の虚偽データ提出は前例がない。他の自動車メーカーに対しても、同様の不正がないかどうか5月18日までに報告するよう指示した。
三菱自は2000年以降相次いだリコール(回収・無償修理)隠し問題による経営危機からようやく脱し、選択と集中を図り成長に向けて動き出したところだった。主力車での新たな不正によるイメージ悪化は免れず、業績にも大きな打撃となりそうだ。
*内容を追加して再送します。
(白木真紀)