アベノミクス主力エンジン失速、春闘ベアが昨年比大幅減
2016年3月16日(水)20時02分
昨年末の官民対話では、高収益企業が率先し、昨年を上回る賃上げ実現を期待することで官民が一致した。
しかし、ふたを開けてみれば、今年の春闘における主要業種のベアは、昨年の半分以下の水準が続出。「このままでは、来年の消費増税分を所得増でカバーできそうにない」と、別の政府関係者は懸念する。
政府内に焦りが生じているのは、足元における個人消費の低迷が続き、今年1─3月期の成長率が2四半期連続のマイナスになれば、アベノミクス下で初めての景気後退に陥り、内外の市場関係者から批判されかねないためだ。
実際、複数の政府関係者は「アベノミクスの成果は、想定より下回っている」と述べている。低調な春闘で、個人消費のエンジンが失速してしまうと、アベノミクスが目指していたプラスの経済メカニズムが働かず、成長率と物価が上がって名目の国内総生産(GDP)を2020年までに600兆円にする目標の達成も怪しくなる。
市場には、財政出動と追加緩和を期待する声が、根強くある。政府・日銀の危機回避策に注目が集まりそうだ。
(中川泉 編集:田巻一彦)
[東京 16日 ロイター]
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