最新記事

米大統領選

#ネバートランプ! 共和党主流派の遅過ぎた?逆襲

共和党内でトランプへの不支持表明が続出。前代未聞の危機をどうきりぬけるのか

2016年3月4日(金)20時00分
テイラー・ウォフォード

指名阻止を誓う 共和党の元大統領候補ミット・ロムニーならトランプを止められる??? Jonathan Ernst--Reuters

 米大統領選の序盤のヤマ場スーパーチューズデー。お騒がせの不動産王ドナルド・トランプは共和党の大統領候補指名獲得に向けて大きく前進した。保守本流ともいうべき共和党主流派は、今更ながらに危機感を募らせている。

【参考記事】トランプ勝利で深まる、共和党「崩壊の危機」

 マサチューセッツ州のチャーリー・ベーカー知事は早くからトランプ不支持を表明。トランプが共和党の大統領候補になったら11月の本選挙ではトランプに投票しないと宣言した。共和党支持者同士がトランプ批判を行う「#ネバー・トランプ(トランプは絶対にダメ)」に参加した有力政治家はベーカーで2人目だ。

「共和党の指名争いは終わったも同然という声があるが、私は認めない」と、ベーカーはボストン・グローブ紙に語っている。「諦めてはダメだ。まだ35州、代議員の半数以上が残っている」

白人至上主義KKKからは支持されて

 共和党内で真っ先に反トランプの声を上げたのはネブラスカ州選出のベン・サッス上院議員。トランプの信念は「(リアリティー番組でおなじみのセレブ一家)カーダシアン家の結婚観並みに節操を欠いている」と、最近MSNBCのインタビューで語っている。「アメリカ人が怒っているのは分かる。だとしても、トランプと嘘つきリベラル(ヒラリー・クリントンのこと)の二択ではひどすぎる。もっと多くの選択肢があるべきだ」

「共和党がトランプやデービッド・デュークの党になるなら私は離党する」と、サックスは言う。デュークはKKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)の元最高幹部で、トランプ支持を表明している。トランプがそれを断らなかったことが、いま大問題になっている。

 ベーカーとサッスに限らず、共和党内ではトランプの独走に焦燥が広がっている。前回の大統領選で共和党の大統領候補だったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事はツイッターで、KKKの支持を断らなかったトランプについて、大統領候補としての「資格を疑わせる」「唾棄すべき」態度だと非難。「偏見を助長し、不快きわまりない」

 トランプの姿勢は「アメリカの理念にそぐわない」とし、スーパーチューズデーに行われた記者会見でも、トランプの指名を阻止するために闘うと誓った。

【参考記事】ロムニーを自滅させる共和党という悲劇

 これまでに、フロリダ州選出のカルロス・クルベロ下院議員、スコット・リゲル下院議員、共和党全国委員会の元議長メル・マルティネスがトランプ不支持、オクラホマ州選出の元下院議員J・C・ワッツと元ニュージャージー州知事のクリスティーン・ホイットマンらも不支持を表明した。

 マルティネスはウォール・ストリート・ジャーナル紙の取材に対して「あの男以外で人間なら誰でもいい」とまで言った。

 予備選でトップを走る候補が党内のバッシングにあうのは、20世紀以降の共和党の歴史では前代未聞の異常事態だ。11月の本選では党一丸となってトランプを推すのか、それとも分裂するのか、さまよえる共和党から目が離せない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中