最新記事

日本

『ザ・コーヴ』主演のイルカ保護活動家、入国できず強制退去へ

入国管理局が「観光目的の来日と証明できない」と入国させず

2016年1月27日(水)12時32分

来日のため成田空港に到着した米国人イルカ保護活動家、リチャード・オバリー氏が、法務省入国管理局によって入国を許可されず、空港近くの施設に収容、そのまま強制退去させられることになった。写真は同氏が主演した映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した際の様子。 Gary Hershorn-REUTERS

 法務省入国管理局が入国を許可せず、18日から成田空港近くの施設に収容されている米国人イルカ保護活動家、リチャード・オバリー氏(76)は26日、ロイターとの電話インタビューに応じ、日本で違法なことはしていないと述べた。

 そのうえで入国拒否は、反イルカ漁活動家に対する圧力だと主張した。同氏は数日中に強制退去処分になる見通し。

 オバリー氏はロイターとの電話インタビューで「日本の法律に違反することは何もしていない。この13年間、年数回は日本に来ている」と語った。

 また、自身のイルカ漁への反対行動に関連し「私は政治犯だ。イルカ漁に反対する声に対して、(日本)政府の中に取り締まろうという動きがあるのではないか」と述べた。

 同氏の代理人である高野隆弁護士によると、オバリー氏は成田空港で入国を不許可とされ、法務大臣宛てに異議申し立てを行ったが、却下された。

 その後、21日に任意の出国には応じないことを宣言したという。

 同弁護士によると、入管はオリバー氏の入国を許可しなかった理由として、2015年に同氏が来日した際、取り調べでイルカ保護関連の集会に出席しないと言ったにもかかわらず、実際には出席しており、同氏の申告は信頼性が疑われ、今回の来日の目的が「観光」であるとは証明できない、としているという。

 オバリー氏に対しては、数日内に退去強制令書が出される見通しで、その場合、76歳という年齢に伴う健康問題などもあり、帰国する予定だという。

 高野弁護士は、今回の入管の措置について「イルカ漁の反対運動に反感を持つ人が日本にいるのは事実だが、こういう人を日本から閉め出すことは、日本がとても不自由な国であると世界中にアピールすること。法務省の対応はとても残念」と語った。

 法務省入国管理局は、今回の対応について「個別の事案に関するものであり、関係者のプライバシーにかかわることから、回答は差し控える」とコメントした。

 (宮崎亜巳、エレイン・リーズ 編集:田巻一彦)

[東京 26日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

IT大手決算や雇用統計などに注目=今週の米株式市場

ワールド

バンクーバーで祭りの群衆に車突っ込む、複数の死傷者

ワールド

イラン、米国との核協議継続へ 外相「極めて慎重」

ワールド

プーチン氏、ウクライナと前提条件なしで交渉の用意 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドローン攻撃」、逃げ惑う従業員たち...映像公開
  • 4
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 5
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中