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日本『ザ・コーヴ』主演のイルカ保護活動家、入国できず強制退去へ
入国管理局が「観光目的の来日と証明できない」と入国させず
来日のため成田空港に到着した米国人イルカ保護活動家、リチャード・オバリー氏が、法務省入国管理局によって入国を許可されず、空港近くの施設に収容、そのまま強制退去させられることになった。写真は同氏が主演した映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した際の様子。 Gary Hershorn-REUTERS
法務省入国管理局が入国を許可せず、18日から成田空港近くの施設に収容されている米国人イルカ保護活動家、リチャード・オバリー氏(76)は26日、ロイターとの電話インタビューに応じ、日本で違法なことはしていないと述べた。
そのうえで入国拒否は、反イルカ漁活動家に対する圧力だと主張した。同氏は数日中に強制退去処分になる見通し。
オバリー氏はロイターとの電話インタビューで「日本の法律に違反することは何もしていない。この13年間、年数回は日本に来ている」と語った。
また、自身のイルカ漁への反対行動に関連し「私は政治犯だ。イルカ漁に反対する声に対して、(日本)政府の中に取り締まろうという動きがあるのではないか」と述べた。
同氏の代理人である高野隆弁護士によると、オバリー氏は成田空港で入国を不許可とされ、法務大臣宛てに異議申し立てを行ったが、却下された。
その後、21日に任意の出国には応じないことを宣言したという。
同弁護士によると、入管はオリバー氏の入国を許可しなかった理由として、2015年に同氏が来日した際、取り調べでイルカ保護関連の集会に出席しないと言ったにもかかわらず、実際には出席しており、同氏の申告は信頼性が疑われ、今回の来日の目的が「観光」であるとは証明できない、としているという。
オバリー氏に対しては、数日内に退去強制令書が出される見通しで、その場合、76歳という年齢に伴う健康問題などもあり、帰国する予定だという。
高野弁護士は、今回の入管の措置について「イルカ漁の反対運動に反感を持つ人が日本にいるのは事実だが、こういう人を日本から閉め出すことは、日本がとても不自由な国であると世界中にアピールすること。法務省の対応はとても残念」と語った。
法務省入国管理局は、今回の対応について「個別の事案に関するものであり、関係者のプライバシーにかかわることから、回答は差し控える」とコメントした。
(宮崎亜巳、エレイン・リーズ 編集:田巻一彦)