ヒラリーの独壇場だった民主党討論会
移民問題については、「みなさんがこの場で聞くすべての見解と共和党の候補者から聞くことには大きな違いがある」と、クリントンが発言。これを受けてオマリーは、移民排斥論者として知られる共和党の最有力候補ドナルド・トランプを「共和党カーニバルの客引き」と非難した。
討論が白熱し、和気あいあいムードが吹き飛ぶ場面もあったが、クリントンは落ち着いた態度を貫いた。銃規制、外交、財政改革などの争点をめぐり、おもにサンダース、クリントン、オマリーが舌戦を繰り広げた。サンダースとオマリーがよりリベラルな立場でタッグを組み、クリントンと対立する場面が多かった。しかし銃規制では、サンダースが過去に銃の製造業者の訴追免除を支持したことを弁明する羽目になり、失点を喫した。
外交政策では、サンダースはクリントンに助け舟を出さず、2002年に当時上院議員だったクリントンがイラク侵攻に賛成票を投じたことを批判。イラク戦争は「この国の歴史上最悪の外交政策の失敗」だったと述べた。
金融規制改革では厳しさをアピール
クリントンは賛成票を投じたのは誤りだったと既に認めており、この問題で批判されるのを予想して反論を準備をしていた。2008年の大統領選予備選で敗れた相手であり、クリントンがイラク戦争に賛成したことを批判した人物、つまりバラク・オバマ大統領を引き合いに出したのだ。
「(イラク戦争に賛成票を投じたにも関わらず)選挙後、国務長官になってくれないかと言われた」と、クリントンは言い、自分の判断能力をアピールした。「オバマは私の判断力を貴重と考え、(ホワイトハウスの地下にある)シチュエーションルームで何時間も議論をして過ごした」」
クリントンがより強硬なシリア政策を主張していることをオマリーが批判すると、オマリーは2008年の大統領選では自分を支持したではないかとやり返した。
金融規制改革に関し、オマリーは、銀行と証券の間に垣根を設けたグラス・スティーガル法を復活させる必要があると論じた。
移民には優しいほうが有利
クリントンは、ウォール街の監督規制問題については最近、ライバル候補たちの提案よりも「包括的で厳しい」提案を発表したと言った。同提案は、保険会社や投資銀行といったシャドーバンキング(影の銀行)業界にも規制の網をかけるものだという。クリントンに言わせれば、シャドーバンキングは今後の経済の安定性にとって大きな脅威になりうる。
サンダースは、不法移民を合法化することを柱とした2007年の移民制度改革案に反対票を投じたことで弁明を迫られた。ラテン系移民の票はもはや望めないのではないか、と司会のクーパーからも突っ込みが入った。「法案に反対したのは、労働条件についての条項があまりに酷かったからだ。人権団体の南部貧困法律センターは『奴隷制度に近い』と呼んだほどだ」と、サンダースは語った。