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領土問題

南シナ海の中国人工島に米海軍が牽制出動?

国際的には認めらない「中国の領海」内に米軍の艦艇を航行させる作戦

2015年10月15日(木)17時00分
サラ・バーガー

意思表示 南シナ海で哨戒活動を行う米戦闘艦フォートワース

 人工島から12カイリを領海とする中国の主張をアメリカは認めない──そう意思表示するために、米海軍が動くかもしれない。米ネイビー・タイムズ紙によれば、米海軍は南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島で中国が造成した人工島の12カイリ以内に艦艇を航行させることを検討している。関係筋は米軍機関紙スターズ・アンド・ストライプスに対し、ホワイトハウスの最終承認を待っている段階と明らかにした。

 中国は南シナ海の大半を領海だと主張している。国際法では自国領土から12カイリまでは領海と主張できるが、人工島は領土かどうかが論点になっていた。

 アメリカは、インド洋とアジア太平洋地域に7隻の戦闘用艦艇を保有する。南シナ海では駆逐艦1隻が、「そこにいるだけ」の駐留作戦を実行している。海軍広報担当のティモシー・ホーキンズによれば、目的は米艦艇が「当該海域に駐留する権利」を確かなものにすることだ。

 中国側もアメリカの動きに神経をとがらせている。中国外務省の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は、南シナ海問題をめぐってはアメリカと「徹底したやりとり」を続けているとして、領有権についての「わが国の姿勢の正当性をアメリカは明確に理解していると思う」と先週語った。

「わが国はアメリカが、南シナ海の現況を客観的かつ公平に見ることと、この海域の平和と安定を守る上で真に建設的な役割を果たすことを期待している」

[2015年10月20日号掲載]

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