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北欧デンマーク「難民にとって魅力のない国」を目指して
止まるところを知らない難民の急増に「寛容な」北欧の一角がギブアップ
難民を見捨てるな 反難民に転じた政府に抗議するデンマーク市民 Emil Hougaard/Scanpix Denmark-REUTERS
デンマークの移民・統合・住宅省は今週、難民の流入阻止を狙った広告キャンペーンを開始した。「デンマークは難民に関する規制を全面的に強化する」という内容で、レバノンで発行されている4つの新聞にアラビア語と英語で掲載された。
広告にはさらに、新たに入国する難民向けの支援金を最大で50%削減する法案を議会で可決したこと、永住権を獲得するために必要な言語力の引き上げや、永住権取得までの待機期間を最短でも5年とする、といった条件が列挙されている。仮にデンマークでの一時的な保護が認められたとしても、最初の1年間は家族を呼び寄せることができない。
ヨーロッパには今、移民や難民が前代未聞の規模で流入している。ドイツやオーストリアは彼らを温かく歓迎し、支援の輪はフランスやイギリスにも広がっている。ローマ法王(教皇)フランシスコも、バチカン自らが2組の難民家族を受け入れると言い、ヨーロッパ全土のカトリック教区に対して同様の対応を求めた。
これに対しデンマークでは、6月の総選挙で中道右派が勝利を収めて以来、ヨーロッパの人道主義からは距離を置き、難民問題に厳しい姿勢を取り始めた。2014年にデンマークは前年の倍の1万4,815人の難民を受け入れたが、今年は5月で既にその人数を上回った。いつ途絶えるともわからない難民数の急増に対し、対抗策を取ると決めたわけだ。
7月にデンマークの新政権が難民への支援金を削減すると決めた直後から、インガ・ストイベア統合相は、難民に対する広告を出す意思を表明していた。雇用省の声明によると、「デンマークを難民にとって魅力のない国にすると同時に、仕事や社会活動を通じてデンマークに貢献できる人にとってはより魅力を増すだめ」の広告だという。
広告は9月7日付けで、ペルシャ語やロシア語など10の言語に翻訳され、デンマーク移民局のウェブサイトにも掲載されている。
こうした反移民政策に対し、一部の政治家は強い憤りを示している。コペンハーゲン市議会のミカエル・ガッテン議員は「不愉快きわまりない行為」と吐き捨て、社会自由主義政党「ラディケーリ」のセーニャ・スタンプはフェイスブックに以下の投稿をした。
「世界主義・人道主義のヨーロッパ人はきっとこう思うにちがいない。『一体、デンマークはどうしてしまったのか。かつては、開かれた心と寛容、平等を重んじ、迫害され貧しい世界の人々と連帯することで知られていた。それが突然、狭量で尊大な行動を取っている。投資や雇用、学問の地を選択するなら、ほかの国を考えた方がいいかもしれない』と」
デンマークのような反難民政策が、他のヨーロッパ諸国に波及しないよう祈ろう。