だがこうした政治的思惑など、少数民族の迫害に比べれば些細な問題だと、人権活動家は訴える。「虐殺に対して沈黙するのは共犯と同じ。スー・チーも同じだ」と、ロンドン大学の法学教授ペニー・グリーンは英インデペンデント紙への寄稿の中で述べている。
「スー・チーがロヒンギャの迫害に抗議すれば、おそらく多数派の仏教徒の票を失うのは事実だ。しかし、そうならないかもしれない」と、グリーンは言う。「スー・チーはかつてとてつもなく大きな倫理的、政治的影響力を持っていた。ミャンマーの世論を支配する下劣な人種差別と反イスラム主義に対抗する機会はあったはずだ」