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イスラエルユダヤ人に「集団移住」を呼びかけるネタニヤフ
「テロから逃げろ」という呼び掛けに在欧コミュニティからは反発も
発言の波紋 ユダヤ関連施設が標的となったことに反応したネタニヤフ(写真は昨年11月) Baz Ratner-Reuters
デンマークで発生した銃撃テロで、シナゴーグ(ユダヤ教会堂)が襲われて警備員が殺害されたことを受けて、イスラエルのネタニヤフ首相は、ヨーロッパ在住のユダヤ人に対してイスラエルへの「集団移住」を呼び掛けた。
今週開かれた閣議の冒頭でネタニヤフは、「こうしたテロ攻撃は今後も続くと予想される。すべての国でユダヤ人の安全が保障されなければならない」と語った。
この閣議では、フランスやベルギー、ウクライナからイスラエルへのユダヤ人移民を促進して定着を支援する4600万ドル以上の予算を承認した。
さらにネタニヤフは、「ヨーロッパ、そして世界中のユダヤ人に言いたい。イスラエルはすべてのユダヤ人にとっての故郷だ。我々の兄弟姉妹を、喜んで迎え入れる」と語り、移住を呼び掛けた。
しかし英紙テレグラフによると、デンマークの首席ラビ(ユダヤ教の聖職者)のジャイル・メルヒオールはネタニヤフの発言について「失望した」と批判した。「テロはイスラエルに移住する理由にはならない。移住するのはシオニズムに賛同してイスラエルを愛するからだ。テロがあったらといってどこかに逃げるというなら、ユダヤ人はみんな無人島に逃げなければならない」
ネタニヤフは、先月パリで連続テロ事件が発生した際にも同様の発言をしている。
© 2015, Slate