最新記事

メディア

規制強化で中国情報が漏れてこなくなる?

政府が中国人ジャーナリストに対し外国メディアに情報を渡すなと警告

2014年7月15日(火)15時59分
マット・スキヤベンザ

報道の自由は… 検閲に抗議して新聞を燃やす人たち Tyrone Siu-Reuters

 中国政府は中国人ジャーナリストに対し、外国メディア(あるいは自分の雇用主ではない国内メディア)に情報を渡さないようにと警告を発した。

 中国のメディアを規制する国家ラジオ映画テレビ総局が出したこのお達しは、中国人ジャーナリストは雇用主の許可なしにオンライン記事を書いてはならないと、昨年4月に発布した禁止令に続くものだ。

 今回の新規制は国内ジャーナリストに向けたものではあるが、共産党政権が外国メディアのコントロールに躍起になっている証しだ。12年にニューヨーク・タイムズ紙とブルームバーグがそれぞれ、当時の温家宝(ウエン・チアパオ)首相と習近平(シー・チンピン)国家副主席の財産について調査報道をすると、共産党はこの2つのメディアのサイトにアクセスできないようブロック。さらに記者たちのビザにも制限をかけた。

 中国人ジャーナリストに対する規制の数々は、外国人ジャーナリストが情報を集めにくくなることも意味する。中国国内のメディアが厳しく検閲されるなか、記者たちは規制されていない外国メディアに有力な情報を託しているからだ。

「中国メディアでは掲載できないようなニュースを報じられるのが、外国メディアの強みだ」と、中国の有名なビジネス誌、財新の元記者ビンセント・ナイは言う。「多くの海外記事のヒントは、有能なのに(記事が書けずに)不満がたまった中国人記者からきている」

 中国人ジャーナリストたちは、脅しや拘束されるリスクを常に抱えながら仕事をしている。中国で最もリベラルな週刊紙として知られる南方週末の記者たちは、秘密の収容施設、つまり闇監獄の存在を暴いて刑務所に入れられた。

 外国人ジャーナリストの下でアシスタントとして働く中国人たちも脅迫や嫌がらせを受けている。ニューヨーク・タイムズのアシスタントで、詐欺の容疑で2年の禁固刑を受けた中国人もいる(彼の支持者たちはこの罪状はでっち上げだと主張)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EU、Temu・SHEINに販売責任 安価で危険な

ビジネス

独プラント・設備受注、昨年8%減 2年連続のマイナ

ビジネス

日産、ホンダとの統合協議を白紙に 取締役会が方針確

ワールド

中国外務省、EUに協力呼びかけ 「世界的な課題」巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 2
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 6
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 7
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中