プーチン夫人、離婚前の謎の「空白期間」
多忙な夫の影で孤独な日々
リュドミラの場合は、オレグ・ブロツキーによるプーチン伝で自ら回想しているところから判断する限り、ちゃんと「身の程」を心得ているようだ。
同書によれば、結婚生活の早い段階で、彼女は夫が「女性はすべての家事を1人でこなすべきだ」と考えていることを知った。第2子の妊娠7カ月のときも、リュドミラは上の子を抱えながら1人で重い買い物袋を上階に運ばなければならなかったという。彼女はブロツキーに、プーチンがKGB(国家保安委員会)の工作員として赴任していた東ドイツのドレスデンでの生活は寂しいものだった、ともこぼしている。
08年には、リュドミラの回想を基にしたとされる映画『キス/ノット・フォー・ザ・プレス』が製作され、DVDとして発売されたが、国内の映画館ではほとんど上映されなかった。
その冒頭シーンは、サンクトペテルブルクでの自動車事故。リュドミラはこれで重傷を負ったが、この日も彼女は独りぼっちだった。当時同市の副市長だったプーチンは米テレビ界の大物テッド・ターナーを案内するのに忙しく、代わりに部下を病院に行かせたのだった。
リュドミラの不在を寂しく思う人々もいる。モスクワの有名ファッション・デザイナーであるウラジスラフ・ザイツェフは昨年10月、民間テレビ局のある番組で「私はリュドミラが大好きだ」と語った。「お高くとまったところも野心的なところもない、とても自然な人だ」。だが2人の友情が発展することはなかった。「残念なことに、突然連絡が途絶えてしまった」
[2013年2月 5日号掲載]