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ギリシャ危機「貧しいアフリカのほうが大変」がギリシャへの侮辱?
ギリシャ人が税金を払えばアフリカを助けられると言ったIMFのラガルド専務理事の発言で、ギリシャ政界が大揺れ。ユーロの将来にも影響しかねないが。
一触即発 思わぬ猛反発を受けて釈明するはめになったラガルド Yuri Gripas-Reuters
国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事が英紙ガーディアンのインタビューで、「ギリシャ人の税逃れ」を批判したのは5月26日のこと。この発言を受け、緊縮財政の是非をめぐって国が分断されて新政権もできずにいるギリシャ人の怒りが爆発。さすがの「鉄の女」も火消しに回らざるを得なくなった。
記事の中でラガルドは、緊縮財政下にあるギリシャ人よりもアフリカの貧しい子供たちに共感を覚えると語り、ギリシャ人は自ら税金を払うことで苦境を乗り切るべきだと発言した。「(アフリカの貧しい人々のことが)常に頭にある。アテネの人々よりも彼らのほうが助けを必要としている」
この発言に激怒したギリシャ人は、フェイスブックのラガルドのページに1万2500件以上のメッセージを書き込み、彼女の発言は「侮辱」であり「不公正だ」と糾弾した。「恥を知れ! お前たちが偉大な文明に災難をもたらした。お前たちの政策のせいでギリシャ人がどんな状態に置かれているのか、全く分かっていない」と、あるギリシャ人は書き込んだ。
緊縮財政の賛成派も反対派も猛反発
ラガルドの発言はギリシャ政界にも動揺を与えている。再選挙を6月17日に控えて、ギリシャでは緊縮財政を受け入れようという世論が盛り返しつつあるが、ラガルドの発言はそのムードに水を差すもの。緊縮財政策を支持する左派、全ギリシャ社会主義運動(PASOK)のエバンゲロス・ベニゼロス党首は、ラガルドが「ギリシャ人を侮辱」し、国に「屈辱を与え」ようとしていると非難した。
一方、緊縮財政に反対する急進左派連合(SYRIZA)のアレクシス・チプラス党首も、「ギリシャ人労働者は耐えがたい重税を払っている」と反論。SYRIZAはギリシャの未来を左右する再選挙に向けて、支持率トップを争う注目の政党だ。
批判の高まりを受けて、ラガルドはフェイスブック上で弁明する羽目に追い込まれた。彼女は「ギリシャの人々と彼らが直面している課題に同情を感じている」と表明し、その上で「富裕層の人々の納税という点では特に、誰もが相応の負担を担うべきだと考えている」と加えた。
借金まみれのギリシャでは暴力的な抗議活動も勃発しており、緊縮財政に嫌気が差したギリシャがユーロ圏を離脱するというシナリオもささやかれている。だがIMFは、巨額の金融支援を行う条件としてギリシャに突きつけている緊縮財政の要求を緩和する予定はないとしている。