民主化ビルマのビジネスチャンス
早くも乗り込む近隣国
開発の遅れによる供給不足のせいで、ラングーンの不動産市場はバブル状態。価格は、タイの首都バンコクに並ぶレベルに高騰している。
「今のラングーンでは不動産の供給量が極めて限られており、需要は高まる一方。ホテルやオフィスや集合住宅の収容能力は限界に近い」と、コリアーズ・インターナショナルのタイ支社の調査部門幹部トニー・ピコンは話す。「(外国企業の新規参入の)鍵となる分野の1つは、ホテルや短期滞在型アパートメントだろう。観光客が増え、視察で訪れるビジネスマンも多い」
規制の壁を乗り越え、利益を手にする外国企業も既に現れている。「一部のアジア企業はビルマ人を表向きの代表者にしたり、裏で提携するなど、巧みなビジネス手腕を発揮している」と、マッコーリー大学のターネルは言う。
早々にビルマへ乗り込んでいる中国やタイ、マレーシアやシンガポールといったアジアの企業に比べ、ヨーロッパやアメリカの企業は出遅れたとの見方もある。ただレオパード・キャピタルのクレイトンは、そうした考えに異を唱える。「ビルマにあふれるチャンスは、1つや2つの国では独占し切れない。欧米企業にも勝機はある」
欧米企業を誘致したい訳
ビルマ政府は欧米の関与を積極的に求めていると、ターネルは言う。「特に金融サービスの分野では、できることなら欧米から投資を受けたがっている」
ビルマ政府にとって、これは単なるビジネスの問題ではない。彼らが求めているのは、国際社会の一員として受け入れられること。有名な欧米企業がビルマに進出してくれれば、その証しになる。戦略的な観点からも、増大する中国の影響力をそぎたい方針にもかなう。
残る最大の難問は、押し寄せる外資をビルマの国民のためにどう生かすか、という点にある。ビルマが資源大国ならではの罠に陥り、外国人投資家や国内のエリート層が暴利を貪る一方で、一般市民がないがしろにされるリスクはもちろんある。
自らの懐だけでなく、ビルマの国民も潤すことができるかどうか。これこそ、テイン・セイン政権とビルマに進出する外国企業の真価が分かる「リトマス試験紙」だ。
From the-diplomat.com
[2012年2月 8日号掲載]