ウラン大国ニジェールが自前の原発計画
福島ショックで世界が脱原発に傾くなか、国内初の原発建設で経済成長を目指すニジェール
原発増殖 富といえばウランだけの貧しい国々が原発をつくり出したら
西アフリカのニジェールは世界有数のウラン産出国。これまでは他国の原子力発電所へ向けてウランを輸出してきたが、今度は自国に原発を建設して経済成長の糧にしたがっている。
「われわれにやるべきことがあるとすれば、自分たちの原子炉を持つことだ」と、政府報道官のマロウ・アマドウは言う。
ニジェールは軍政から民政に移行したばかりで政情は安定しておらず、経済的には世界で最も貧しい国の1つだ。国内の2つの鉱山から採掘されるウランが世界のウラン生産量の7・5%を占めているが、この恵まれた資源を経済成長につなげられずにいる。資源が豊かであるがゆえに、国内外のさまざまな利権が絡んで政情不安を呼んでいるとも言えるだろう。
日本の福島第一原発の事故によって、世界では原子力の安全性を見直す動きが高まっている。ドイツは今週、2022年までに国内の原発を全廃する法案を閣議決定した。
それでもニジェールは、自国をはじめ西アフリカ諸国が発展し、貧困から脱け出していくのに必要なエネルギー源は原子力だと考えている。
「強調しておきたいのは、わが国の電力需要は低いため、原発建設については他のアフリカの国々と共同の枠組みの中で行う」と、政府報道官のアマドウは述べている。
しかし政情が不安定な国の原子力開発計画に、世界の懸念は高まっている。