援助職員の死が教えるアフガンの危険度
長期滞在者が陥りやすい自己過信
その間、私はひたすら声を殺し、存在を消していた。ブルカの着心地は最悪だったが、これを着ていれば安全だと思えた。だが、リンダ・ノーグローブのケースで明らかなように、実際にはブルカにそれほどの力はない。
カンダハル州の北に位置するザブル州を越えると、少し楽に呼吸ができるようになった。その北のガズニ州のどこかを走っている頃には、ケバブを食べるためにブルカを外していいという許可ももらった。そして夕方、疲労困憊した私たちは何とか無事にカブールに到着した。
私の行動は愚かで、今ならあんなリスクを冒すことはない。だが私たちのような古株はこの国に慣れすぎて、「何年もここに住んでいるのだから、自分は今後もトラブルに巻き込まれない」と考えてしまう。
私の友人知人にも、反政府勢力に拉致された人が大勢いる。幸い、彼らの大半は怪我もなく解放された。私は彼らの回顧録を買い、その苦しみに同情しているが、同じ経験をしたいとは思わない。
リンダは自身の拉致事件について何も書き記さないまま亡くなった。彼女の人生は、彼女が愛した国、自分を傷つけるはずがないと思っていた国で突然幕を閉じた。
私は今度の取材旅行の間ずっとリンダを想うだろう。リンダの死を知る前のように危険な場所に足を踏み入れることはないから、少なくとも無傷で帰ってこられる確信は強まった。
リンダの冥福を祈る。
(GlobalPost.com特約)