偽装統計が映す中国政治の欠陥
2010年9月3日(金)14時22分
改革の一歩は事実の把握
だから地方の党幹部や官僚は、数字を操作して「結果」を出す。不正なことだが、出世という確かなメリットがある。一方、不正が暴かれ、罰せられるリスクは限りなくゼロに近い。
統計が信用できないこと自体は、大した問題ではない。だが中国のような一党支配のシステムにおいて、広大な国を効果的に統治できていないという現実は切実で急を要する問題だろう。
欧米の人たちは、中国流の「市場社会主義」はトップダウンだから政策実現の効率がいいと考えがちだ。しかし忘れないでほしい。中国の公式統計の数字を正しく検証することは、およそ不可能に近いのだ。
鄧小平の言う「真実は事実に求めよ」は、中国を改革するための賢明なアドバイスだった。しかし今は、その事実までもがゆがめられている。
[2010年8月11日号掲載]
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