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ロシア2014年ソチ五輪に迫るテロの恐怖
2014年にロシアのソチで開かれる冬季オリンピックでテロが起きる危険性が高まっている。ロシア南部の北カフカス地方にあるカバルジノ・バルカル共和国のバクサン水力発電所が7月21日にテロ攻撃を受け、警備員2人が死んだことで、その懸念はさらに高まった。
イスラム教徒が大部分を占める北カフカス地方で発生したテロ事件の件数は09年に57%増加。94〜01年のチェチェン紛争と違い、実行犯の背景は過激なイスラム主義だけでなく、分離独立主義や部族闘争など多岐にわたっている。
北カフカスにカネと武器を投じ続けるロシア政府のやり方は裏目に出ている。人権団体メモリアルによれば、チェチェン共和国とダゲスタン共和国では夜間の誘拐やレイプ、政府が支援する暗殺部隊による「合法」殺人が以前から横行している。ダゲスタンのある警察関係者によれば、警察とつながりがある地元の部族が敵対する部族を混乱に陥れるため、暴力をあおっているという。
ロシア政府は何とかして暴力の連鎖を断ち切らなければならない。さもなくばソチで14年に開催されるオリンピックが狙われることになる。21日の事件があった北カフカスの丘陵地帯からソチまで約300キロしか離れていない。
[2010年8月 4日号掲載]