クソったれ言葉を取り締まれ!
取り締まりのせいで傷害事件が
ほかの人たちも、やはり反省はしていない。口の悪さでは村一番のタスカ・チェルカシナという女性はぶちまけた。「ここじゃマジでクソッタレなことが起きてる」。彼女が最も気に入らないのは、エホバの証人による改宗の勧誘だ。「最初は丁寧に『失せろ、クソ野郎』って言ってたんだよ。でもいつまでもゴチャゴチャうるさいから、『てめえのクソ間抜けなクソたわ言なんか、クソアホらしくて聞いてらんねえんだ』って叫んじゃったよ。それから奴らの姿は見てないね」
村ではこれまで、チェルカシナを含めても悪態で刑務所に入れられた人はいない。法律では下品な言葉を発せば500~1000ルーブル(約1500~3000円)の罰金または15日間の収監が定められている。だが地元の警察官アレクセイ・ペトロフは、罰則は最後の手段と決めている。「優しく言っているうちに納得できないようなら罰金を科す」
とはいえ、物事はいつも計画通りに進むわけではない。ペトロフは汚い言葉を吐かれたとき、同じように悪態でやり返すのではなく当局に報告するよう住民に呼びかけた。だがそのせいで住民は他人の不快な行動だけでなく、汚い言葉遣いに対しても強い不満を感じるようになってしまったという。
若い男性が喧嘩の最中に隣人を刺すという事件があったが、原因は隣人が彼の母親に「反社会的な」発言をしたことだという。ペトロフはため息をつきながら言った。「われわれは社会を良くしようとしているのだが......」