最新記事

ロシア

クソったれ言葉を取り締まれ!

2009年9月25日(金)18時39分
ダリナ・シェフチェンコ(ニューズウィーク・ロシア版記者)

取り締まりのせいで傷害事件が

 ほかの人たちも、やはり反省はしていない。口の悪さでは村一番のタスカ・チェルカシナという女性はぶちまけた。「ここじゃマジでクソッタレなことが起きてる」。彼女が最も気に入らないのは、エホバの証人による改宗の勧誘だ。「最初は丁寧に『失せろ、クソ野郎』って言ってたんだよ。でもいつまでもゴチャゴチャうるさいから、『てめえのクソ間抜けなクソたわ言なんか、クソアホらしくて聞いてらんねえんだ』って叫んじゃったよ。それから奴らの姿は見てないね」

 村ではこれまで、チェルカシナを含めても悪態で刑務所に入れられた人はいない。法律では下品な言葉を発せば500~1000ルーブル(約1500~3000円)の罰金または15日間の収監が定められている。だが地元の警察官アレクセイ・ペトロフは、罰則は最後の手段と決めている。「優しく言っているうちに納得できないようなら罰金を科す」

 とはいえ、物事はいつも計画通りに進むわけではない。ペトロフは汚い言葉を吐かれたとき、同じように悪態でやり返すのではなく当局に報告するよう住民に呼びかけた。だがそのせいで住民は他人の不快な行動だけでなく、汚い言葉遣いに対しても強い不満を感じるようになってしまったという。

 若い男性が喧嘩の最中に隣人を刺すという事件があったが、原因は隣人が彼の母親に「反社会的な」発言をしたことだという。ペトロフはため息をつきながら言った。「われわれは社会を良くしようとしているのだが......」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシア、新型ICBMを開発中 最大射程の発射実験計

ビジネス

ナスダック、上場数でNYSE上回る見込み 6年連続

ワールド

米上院、国防権限法案の可決に道筋 予算総額8950

ワールド

原油先物はほぼ横ばい、FOMC控え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが物議...事後の悲しい姿に、「一種の自傷行為」の声
  • 2
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの国?
  • 3
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「TOS-1」をウクライナ軍が破壊する劇的瞬間をカメラが捉えた
  • 4
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 5
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 6
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 7
    メーガン妃は「ブランドのバッグを喜んで受け取る人…
  • 8
    ウクライナ侵攻によるロシア兵の死者は11万5000〜16…
  • 9
    爆発と炎上、止まらぬドローン攻撃...ウクライナの標…
  • 10
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 4
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 5
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 6
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 7
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 8
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 9
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 10
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中