日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラスの天井」を破るための「条件」とは
TO BREAK THE GLASS CEILING
小池氏は現在までに首相の座をつかむには至っていない。それは本人の意向と計算もあるかもしれないが、何よりも社会の側に女性首相を待望する機運すなわちモメンタムがなかった、あるいはタイミングがそろわなかったということだろう。
9月12日告示、27日投開票の自民党総裁選と並んで、野党第1党である立憲民主党の代表選も9月7日告示、9月23日投開票の日程で行われる。推薦人20人確保のハードルは自民党以上に高いが、西村智奈美代表代行と当選1回の吉田晴美衆議院議員が立候補の意欲を示している。
他国の事例を見るに、野党党首になってからの政権奪取、即首相就任というパターンは典型でもある。野党が女性党首を擁立することは、日本に女性首相を誕生させる戦略的観点からはことさらに重要と言える。
問題は日本社会、つまりわれわれの側に、女性首相を待望するモメンタムがあるかどうかだ。検事総長も連合会長も女性が就任し、地ならしは済みつつあるようにも思える。女性首相候補を育てるのは有権者だ。
米連邦最高裁判事を27年間にわたって務め、20年9月に87歳で死去したルース・ベーダー・ギンズバーグ(RBG)は生涯を通じて「ガラスの天井」と戦い続けたが、同時に「自国を成功させたければ、女性に投資するべきだ」と言っている。
モメンタムは造ることができる。女性閣僚を首相臨時代理第1順位指定の副首相に起用することも一案だ。
女性首相の登場が日本にどのような影響を与えるかは未知数なところがあるが、少なく見積もっても、政治的決定プロセスの頂点に多様性が組み込まれることがもたらす政治・経済・社会的効果は計り知れない。
その端緒として、今回の自民党総裁選・立民代表選で正面から「ガラスの天井」をめぐる論戦が戦わされることを期待したい。