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「あと2週間」デンマーク・マルグレーテ2世女王の「サプライズ退位」...「王室のスリム化」立役者の決断と影響とは?

2024年01月02日(火)09時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
デンマーク・マルグレーテ2世女王

MichaelW.Holm-shutterstock

<エリザベス女王の崩御後は世界唯一の女王、かつ欧州で最長在位となったデンマーク女王の電撃退位の発表。王室のスリム化など、時代にあった王室を作り上げてきた功績と影響について>

デンマークのマルグレーテ2世女王(83歳)が恒例の大みそかのスピーチで、在位52周年となる1月14日に退位すると発表した。

エリザベス女王の逝去後、世界で唯一の女性君主となったマルグレーテ2世はテレビの生放送演説の冒頭でガザとウクライナでの戦争、そして気候問題とAI(人工知能)に関して話し、国民とグリーンランドとフェロー諸島の人々に挨拶をしたあとに自身の退位について述べた。


その中で背中の手術を受けたことで女王としての役割について考え直し、息子であるフレデリック王太子に王位を譲ることを決めたこと、そしてこれまで支えてくれた国民への感謝の意を述べた。

デンマークのメディアは「まさに歴史的」と評している。というのも、存命の間は王位に就き続けることをこれまでたびたび女王自身が強調してきたからだ。

父フレデリック(フレゼリク)9世の逝去にともない、1972年1月14日に31歳で君主となったマルグレーテ女王は、気さくで大らかな性格の持ち主。2018年に逝去した、フランス出身の元外交官の夫ヘンリック殿下とは同じ墓に入りたくないと述べるなど、型破りで豪快なキャラクターでも人気を誇っている。また、ヘビースモーカーとしても有名である。

【写真】タバコを吸う姿もクールなマルグレーテ2世女王 を見る

マルグレーテ2世女王が即位した1972年には、君主制に対する国民の支持率は42%であった。デンマークの通信社リッツアウによると、現在ではそれが75%を超えているという。

近年では、2022年9月に次男ヨアキム王子一家の称号剥奪を発表し、ヨアキム王子との間に感情的な対立が起きていた。しかし、それでも王室のスリム化を断行するなど、時代にあった君主制を作り上げるなど王室の地位を固めることに尽力した治世の「総仕上げ」が今回の自身の退位となった。

【写真】対立した次男ヨアキム王子一家も女王の83歳の誕生を一緒に祝った(2023年4月) を見る

その決断力も評価されているマルグレーテ2世女王の人気は絶大だ。55歳にして「フレデリック(フレゼリク)10世」として王位に就く長男フレデリック王太子とメアリー王太子妃夫妻も人気が高く、デンマークのメディアによるとデンマーク人の約80%が王太子夫妻にも好感度を持っているという。まさに女王が切り開いた道がそのまま引き渡されるかたちとなった。

けして退位しないとたびたび述べてきたマルグレーテ2世女王が、今回83歳で52年間の王位を降りることになった。それはスウェーデンのカール16世グスタフ国王(77歳)とノルウェーのハーラル5世国王(86歳)にも少なからず影響を与える可能性があるとヨーロッパのメディアで話題になっている。

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