「自分より才能があり、チャンスを待つ多くの人々」への敬意──アカデミー賞の栄誉には安住しない「今の自分の役割」とは?
Creating Opportunities
スペンサーの役柄はジェシカおばさんとコロンボの融合だと言う ALBERT L. ORTEGA/GETTY IMAGES
<ドラマ『真相』で犯罪解決に挑むポッドキャスターを演じるオクタビア・スペンサー。「当たり前と思ってはいけない」と語る理由>
オクタビア・スペンサーが、ドラマ『真相 TRUTH BE TOLD』(アップルTV+)で犯罪解決に挑むポッドキャスターのポピーを演じたのは巡り合わせだった。「もともと犯罪実録物と調査報道に関心があった。だから自然な成り行きだった」と、彼女は語る。
1月20日から配信されているシーズン3は「これまでで最高のシーズン。意義深く、現実的な問題に関係しているから」とスペンサーは言う。新たにキャストに加わったガブリエル・ユニオンは「素晴らしいコメディー女優で、ドラマ女優としても本領を発揮している」。
2人は黒人少女の失踪事件を解決しようとする。スペンサーが犯罪実録物に引かれるのは「視聴者も捜査員になれるようなところがあるから。誰でも、捜査に積極的に関われる」ためだと言う。
最近のスペンサーはプロデューサーを務めることが多い。「自分に合った役割は何かといつも考えていて、今の年齢と人生の段階ならそれは間違いなくプロデューサー。自分のためだけではなく仕事をつくり、チャンスを与える人」。そう話す彼女に、本誌H・アラン・スコットが話を聞いた。
――ポピーのポッドキャストをナレーションに使うことで、より深い物語を語れる?
そうね。ポピーは「ジャーナリズムとは何なのか」という境界線を曖昧にする。ジャーナリストは登場しないが、ポピーは真実を求め、なぜかいつも捜査の中心にいる。
――彼女は『ジェシカおばさんの事件簿』のジェシカ・フレッチャーや、『刑事コロンボ』のコロンボを思わせる。
ちょっとした秘密を教えないと。私は(両方とも)全話見ていて、ポピーはいわば彼らを融合させた人物。いつも彼女が高いジャケットを着ているのはニューヨーク・タイムズ紙出身で、まだスーツを処分していないから。よれよれではないけどトレンチコートを着ているのは、ピーター・フォークへの賛歌。
――シーズン3でポピーは?
人生の大きな転機を迎える。子供が行方不明になったら何が起きるかを、じっくり考えることになる。
――あなたは俳優として、プロデューサーとして芸能界のあらゆることを経験してきた。2012年にアカデミー賞助演女優賞を受賞したことについてはどう考えている?
当たり前と思ってはいけない。私もその栄誉に安住はしていない。私より才能があり、あとはチャンスを待つだけという人は世の中にたくさんいる。だから私が大事にしたいのは、ほかの人々にチャンスを与えること。オスカーがいつもそばにいてくれることに驚くし、感謝している。