「負けたときこそ学ぶとき」──ウィリアムズ姉妹の姉ビーナスが「女性の力」を語る
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2017年のウィンブルドン女子シングルスで準優勝 KARWAI TANGーWIREIMAGE/GETTY IMAGES
<賞金が男女平等ではないこと、センターコートで行われる女子の試合の少なさなど、不平等を目の当たりに。しかし、重要なのは自分の限界を決めつけずにチャンスをつかみ、得たものを社会に返すこと>
タイトルナイン(大学スポーツにおける男女平等を保障した1972年の教育法第9章修正条項)は、多くの女性に影響を与えてきた。スポーツだけでなく女性の人生におけるムーブメントだった。
こうした法律のおかげで、女性の人生のあらゆる場面で多くの機会が生まれ、新しい世界が広がった。スポーツ全体で、大学スポーツやプロスポーツで、タイトルナインが扉を開いたのだ。
私はキャリアの初期に、男女の不平等を目の当たりにしてきた。コートの利用時間の不均衡もその1つだ。女子も男子も参加する大会では、センターコートで女子の試合がいくつ行われただろうか。
賞金が男女で平等ではないことも、男性は誰もその不利益を経験したことがないだろうが、女性は誰もが経験してきた。2007年のウィンブルドン選手権で優勝した私が女子として初めて男子と同額の賞金を手にするまで、その差はあまりに大きかった。
男女平等の考え方が、私の女性らしい力を邪魔すると感じたことは一度もない。男女平等を目指すことは、女性としての力を受け入れることであり、他の女性たちが自分の力を受け入れる手助けをする機会をつくるということだ。自分の人生にとってポジティブなことをすれば、大きな影響をもたらすことができる。
女性にとって大切なのは、女性らしさをありのままに受け入れること。自分がどう感じるか、自分を表現するためにどんな服を着るか、全てをありのままに。隠す必要はない。自分の女性らしさを歓迎して、輝かせればいい。
次の世代の背中を押す
何かしら言ってくる人は必ずいる。何かを言うということは、何かが起きているということだから、むしろいいことだ。私たちが女性として不十分だと言うのなら、好きに言わせておこう。私たちは女性として十分だと、自分で分かっているのだから。私たちにできないと言う人は、自分で自分の限界を決めているだけだ。私たちがその限界を受け入れる必要はない。
何よりも重要なのは、私たち女性が自分で限界を決める必要はないということを理解して、次の世代の背中を押してあげることだ。母親や父親、きょうだい、教師が、女性は物事を成し遂げることができると教えるのだ。
私の母は、私たちが幼い頃からコートで一緒に多くの時間を過ごした。私の性格は母にとても似ている。遺伝の話をするなら、彼女は素晴らしいアスリートだった。