「負けたときこそ学ぶとき」──ウィリアムズ姉妹の姉ビーナスが「女性の力」を語る
Bet on Yourself
強くてパワフルで、どんな弱さも許さない。私たちにも強くなりなさい、自信を持ちなさいと教えて、そのためのツールを与え、手本を示して導いてくれた。彼女が打ちひしがれたり、何かに屈したりするのを見たことはない。
母はいつも「負けないようにプレーしなさい」と言う。人は勝つためにプレーするものだが、母は定説の逆が好きだ。チャンスを求めるのではなく、自分のチャンスは自分でつくることができるとも教えてくれた。誰かが与えてくれると思うのではなく、自分で取りに行くのだ。
サッカーのアメリカ女子代表が男子代表と同一の報酬を実現させたときは、私と同じ経験と喜びを共有していると感じた。プレーだけでは成し得ない、もっと大きなことの一部になるという喜びだ。
今の私にとって、他の人が私と同じように成功する手助けをし、他の人が私の経験から学ぶことを手助けする機会があることは、とてもエキサイティングだ。
私が手掛けているライフスタイルとアクティブウエアのブランド「イレブン」では、会計の際に1ドルを上乗せして払うと、恵まれない女の子を支援する非営利団体「ガールズ・インク」への寄付になる。2年目を迎えたこの活動は、男女の賃金の不平等によって女性がどのような経験をしているかについて、認識を広めようとしている。
こうした取り組みは、問題の存在を知ってもらうところから始まる。そして、自分が成功するだけでなく、他の人の成功を支えていくのだ。
負けたときこそ学ぶとき
タイトルナインから50年たった今も、道半ばであることは明らかだ。「私たち皆が同じ人間同士だと考えて、互いを不平等に扱うのをやめればいいだけなのに」と、ため息をつきたくなるときもある。
でも、すぐにまた、女性にとって平等な世の中になるように頑張ろうという気持ちになる。やるべきことはたくさんある。一人一人に果たせる役割がある。
私の願いはテニスが成長し続け、高められていくことだ。そして、その思いを受け継いで、女性のスポーツをさらに素晴らしいものにしたいという選手が出てくることだ。
(70年代から男女平等を訴えてきたアメリカの元女子テニス選手)ビリー・ジーン・キングのような人たちは、自分のテニスのことだけを考えるわけにはいかなかった。彼女はあらゆることを背負わなければならなかった。