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仕事不安が渦巻くコロナ時代に成果を出せるチームリーダーの条件
Good Communication Is Key
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<不安とストレスが渦巻く職場で信頼を醸成し部下のやる気を引き出す実践的なコツ>
コロナ禍で景気が冷え込み、雇用環境は記録的なレべルまでに悪化。多くの人がストレスや不安を抱え、仕事の場では人間関係がギクシャクしがちだ。自分や周囲の人たちの不安とうまく付き合い、チームの雰囲気を盛り上げて成果を出すにはどうすればいいか。
本誌米国版と人脈サイト「リンクトイン」のインタビュー・シリーズ「べター」は、ビジネスコーチングのプロで、『透明社員を使え!』(邦訳・CCCメディアハウス)の共著者チェスター・エルトンに4つのコツを聞いた。
■意思疎通を図りまくれ
「コミュニケーションが十分でないと、噂や裏読み、不安がその隙間を埋める」と、エルトンは言う。「今リーダーができる最善の対応の1つは常に意思を伝え合うことだ」
政治の世界では有権者に自分の名前を覚えてもらうには7回連呼する必要があると言われる。新しい方針を打ち出すときはもちろんのこと、ただ部下を安心させるためだけでも、丁寧に何度も説明する必要がある。
エルトンは顧客の経営幹部に「コミュニケーションは取り過ぎと思うくらいでちょうどいい」と話しているそうだ。
■感謝の気持ちは形で表せ
相手が同僚であれ社員であれ、ねぎらいの言葉を掛けるだけでは不十分。相手の状況に合わせて気持ちを形で表す必要があるとエルトンは言う。
「相手が家族を大切にしているなら、家族と過ごす時間が取れるよう配慮する。自分の力を試したい、新規事業に挑戦したいと思っているなら背中を押す。こうした対応を取るには相手をよく知っている必要があるから、口先だけの感謝ではないと相手にも伝わる。そこまでしなくてもと思うかもしれないが、感謝の気持ちはどんなに表しても表し過ぎることはない」
■物事を善意に解釈せよ
今の時期、在宅で仕事をしながら子供のオンライン学習を助け、病気の親族の介護をしている人も多い。こうした状況ではミスも起きるだろう。
「報告がなかったり企画の進行が遅れたりしても、さぼっていると決め付けてはいけない」と、エルトンはクギを刺す。「本人は頑張っているが、不測の事態が起きたのかもしれない。気長に見守る寛容さが大事だ」。経営幹部の寛大な姿勢は後々社員の忠誠心という形で報われるだろう。
■自分の不安を率直に語れ
社員の立場では、自分の不安を話すのは非常に勇気がいるものだ。弱音を吐けば評価が下がると思って問題を1人で抱え込んでしまうこともあるだろう。そんな思い込みを崩すには「まずリーダーが胸襟を開いて自分の不安を率直に話すことだ」と、エルトンはアドバイスする。「そうすればチームの誰もが安心して悩みを話せるようになる」
リーダー自らが人間的な弱みを見せれば、部下は不安を打ち明けても罰せられる心配はないと気付き、心理的な重圧から解放されるだろう。
昨今の目まぐるしく変化する状況下では、対人関係の細かな気配りを忘れがちだ。だが「リーダーが肝に銘ずべきは、何をどう伝えるべきかよく考え、自分を律して(賢明なコミュニケーションを)取ること」だと、エルトンは力説する。
良い人間関係こそがあなた自身、そしてあなたのチームの長期的な成功をもたらす。
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[2020年11月 3日号掲載]