地域再生からADHD治療効果まで。スケボーの意外なプラス効果とは?
DIY With Skateboarding
9月にブラジル・サンパウロで開かれた世界選手権。日本から出場した西村碧莉選手 Amanda Perobelli-REUTERS
<経済的に困窮した街で成長の牽引役になった実例もあるスケボー。スケボーの社会貢献を報告する国際会議では今年、ADHD(注意欠陥・多動性障害)のある子供に治療効果があったと報告された>
2020年東京オリンピックまで1年足らず。今回から新たに加わる競技の1つに、スケートボード(スケボー)がある。
スケボーといえば、チャラチャラした若者が空き地を独占して、奇妙な技を繰り返し練習している(そしてたいてい失敗している)迷惑な遊び──。そんなイメージが強いかもしれない。実際、イギリスの多くの都市が公共の場でのスケボーを禁止または制限していた。
だが今、スケボーが社会にもたらすプラス効果に注目が集まっている。イギリス中部の町ノッティンガムがいい例だ。
2008年の世界的な大不況の影響をもろに受けたノッティンガムは、一時は世帯収入がイギリスで最下位になるほど経済的に困窮した。伝統的な産業や雇用の回復が遅れるなか、成長の牽引役として注目を集めるようになったのが、音楽やアートなどのストリートカルチャーだった。
スケボーもその1つで、愛好者たちは屋内パークを公共施設に変身させることで、約50万ポンド(約6700万円)の投資を呼び込むことに貢献。イギリス初の公営スケボーフェスティバルの開催も実現させた。
スケボーの社会貢献を報告する国際会議もある。2018年6月にロンドンで初めて開かれた「プッシング・ボーダーズ」は、都市計画の専門家から社会福祉NGO、メンタルヘルスの専門家、そしてもちろんスケボー愛好者が集まる国際会議だ。
今年は8月にスウェーデン第3の都市マルメで開かれ、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアから関係者が集まった。このうち米オハイオ州デイトンのNGOは、小・中学生向けの放課後のスケボークラブが、ADHD(注意欠陥・多動性障害)のある子供に治療効果があったことを報告した。
【参考記事】天才ダ・ヴィンチはADHDだった!?
東京五輪を告知の機会に
スケボーは型にはまらず、誰かと競争するわけでもなく、失敗することがごく当たり前のスポーツだ。愛好者は1つの技に成功するまで何百回も練習するから、失敗してもめげずに立ち直る力や、物事をやり抜く力を鍛えることができる。
デイトンは、医療用麻薬「オピオイド」の乱用問題がアメリカで最も深刻な町の1つ。放課後のスケボークラブは、子供たちが薬物乱用につながるグループに近づくのを阻止する役割も果たしているという。
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