5歳にして3カ国語操る子供──マルチリンガルだらけ、スイス人家庭の実態とは
レベルはどうあれ、自信も大切
スイスのように「石を投げればマルチリンガルに当たる」状況でなくても、ヨーロッパには、現地語と英語のバイリンガルは当たり前の国もあるしマルチリンガルもどこにでもいる。ヨーロッパと日本は状況が違うので単純に比較することはできないが、日本人はなぜ「英語が苦手」の意識が強いのか。日本人が想定するバイリンガルの基準が非常に高いことも、その一因だろう。完璧に話さなければと思うあまり萎縮してしまうのだ。
ヨーロッパ人は「自分は語学ができる」という自負が強いと感じる。「英語は何でもわかるから」が口癖のスイス人の友人は、英語で会話していると「いまの、よくわからなかった。もう1度言って」と頻繁に言うし、フランス語を筆者より流ちょうに話す別の友人は、書いたものを見せてもったら間違いだらけで驚かされたこともある。
限られた文章を話す英語レベルの日本人に対して「上手だ」と言うヨーロッパ人は多い。これは実際に使うことが大事という彼らの感覚からして、お世辞ではなく本心だと思う。日本に住んでいると、多くの日本人は英語を学ぶ必要性を感じないかもしれない。それでも、ヨーロッパ人感覚で「少しでもできればバイリンガル」を目指していくことは、国際化を掲げている日本にとって、やはり大切なのでは?
[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」理事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com
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