7年間かけて100万ユーロを金持ちの口座から引き出したイタリアの銀行員
7年も発覚しなかった…(写真はイメージです)Wicki58-iStock
<イタリアの小さな村の銀行員が高額預金者の口座から総額100万ユーロ以上を不正に引き出していたという事件が起きた。その目的は...>
「ロビン・フッド」に「鼠小僧次郎吉」と、悪者や金持ちから金品を盗んで貧しい人たちに分け与える人情にあふれる盗賊が登場する物語は古今東西に存在するが...。これはとあるイタリアの田舎町で起きた銀行員のお話。
大筋はこうだ。オーストリアやスロベニアとの国境近いイタリア、フリウリ=ヴェネチア・ジュリア州にフォルニ・ディ・ソプラという山岳地帯の人口1000人足らずの村がある。住人たちのほとんどがお互いを見知っているような小さな村だ。
その村にあるクレディト・コペラティーヴォ・ディ・カルニア・エ・ジェモネーゼ銀行(Banca di Carnia Gemonese del Credito Cooperativo)の支店で、ディレクター職にあったジルベルト・バスキエラ(50歳)が、7年間に渡って総額100万ユーロ(約1憶3000万円)余りを高額預金者の口座から引き出していたことが発覚した。
バスキエラは複数の口座から数回に分けて少しずつ引き出した金を、経済的に困っている人たちに流していたという。発覚の後、バスキエラは同行から即刻解雇され、横領と詐欺の罪で訴えられ、自宅は差し押さえられた。
地方の小さな村の話ではあるが、このニュースはコリエレ・デラ・セラ、レプッブリカ、ラ・スタンパ等の大手紙からイル・ガゼッティーノのウーディネ版など地元紙、ファンページをはじめとするニュースサイトまで様々なメディアで取り上げられた。
現代のロビン・フッドなのか?
コリエレ・デラ・セラ紙やイル・ジョルナーレ紙によると、バスキエラは「経済的に困窮している人、銀行からの借用が受けられない人たちを助けるためにやった」とし、「我々銀行の使命はお客様の貯蓄を守るだけではなく、お金が必要な人たちを支援することだと考えている」と語っているそうだ。
昨今のイタリアの不況の中、バスキエラとしては、受給額の少ない年金生活者や、十分な補助を受けられない若者などを助けるため、自分なりの反乱を起こしたということのようだ。高額預金者から引き出したお金は、自分のためには一切使っていないとしている。