実在した...アレクサに怒鳴る男 絶対にお断りした方がいい深いワケ
I Don’t Date Men Who Yell at Alexa
AIアシスタントは女性の声や名前を持ち、家庭内でのタスクを担う。この事実は「主婦」という存在を思い起こさせる。
帰宅した男性が怒鳴り声で女性の名前を呼んで何かを命じる。その姿は、女性とは男性の言いなりになる存在だと見なされていた時代を思い出させる。今や、より従順な「スマートワイフ」が登場して、「女性」と「従属」はイコールだとの思い込みが強化されているかのようだ。
名前がアレックスなら?
スマートスピーカーを所有しているかどうかにかかわらず、多くの男性は女性に何かをしてもらうことを当然視している。オンラインには、そうした「期待」を裏切られて怒る男性の声があふれている。
女性の声を持つ従順なロボットが生活の一部になることで、女性を非人間化する男性の性向に拍車が掛かるのか。YouTubeを見てみるといい。そこには、アレクサにデートの誘いを礼儀正しく断られた男性が、アレクサを「ビッチ」と罵倒する「お笑い」動画がある。
男性はロボットと人間の違いが分からないとか、アレクサに失礼な態度を取る男は全て性差別主義者だと言うつもりはない。そもそもAIアシスタントを人間扱いするのは危険だ。その知能は人工のもので、大企業によってコントロールされている。そして今の子供は企業とは何かも知らないうちに、アマゾンやアップルと不健全な関係を結ぶリスクにさらされている。
人間はロボットに何の義理もないし、アレクサは人間に何をどう言われようとひるまない。それでも日常生活において大きな割合を占めるようになった「話し相手」への口調は大きな意味を持つ。アレクサにとってではなく、私たち人間にとって。
アレクサがアレックスという男性名だったら、これほど動揺しなかったかもしれない。だが、男性が女性の名前を呼んで命令するのを聞くのは耐え難い。それが女性だから命令口調になるのではないか、性別がロボットに対する態度を決めているのではないか、と思ってしまう。
多くの人が指摘しているように、女性の名前や声を「デフォルト」にするのをやめたらどうだろう? スマートスピーカーに対する男性の口調に、私がこんなにこだわることもなくなるのではないか。でも、男性の声になった途端に男たちがより丁寧な話し方をしたら、そのほうがよっぽどムカつくかも。
[2018年6月12日号掲載]