大統領選共和党候補たちの不安だらけの外国ツアー
ウォーカーは、過去の失敗に懲りたのかもしれない。2月には、自分はウィスコンシン州で労働組合に対処した経験があるので、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)にも適切に対応できると発言。共和党のレーガン元大統領による最も重要な外交上の決断は何だと思うかと問われたときは、81年にストライキを行った航空管制官たちを解雇したことだと答えた。
初期の世論調査では共和党のトップを走っていたウォーカーだが、これで大統領としての資質に疑問符が付いてしまった。
一方、外国訪問で株を上げた共和党政治家もいる。マルコ・ルビオ上院議員は、11年に上院議員になって最初の2年間で8カ国を訪問。昨年は、アジアの同盟国である日本、韓国、フィリピンを歴訪し、安倍晋三首相とも会談している。13年には、ロンドンの権威ある王立国際問題研究所で講演し、オバマの外交政策を厳しく批判した。
ルビオの場合は、上院で外交委員会に所属していることに加えて、早い段階から外国訪問を始めていたことが功を奏しているのだろう。
もっとも、共和党の面々にとって最大の試練は、外国首脳と不慣れな会談をすることではない。オバマの外交に代わる説得力ある外交戦略を打ち出さなくてはならない。
共和党の出馬予定者のほとんどは、もっと力強い外交を主張し、ロシアや中国、ISISに強い姿勢で臨むべきだと言う。しかし、具体的にどういう外交を行うのか。単にマッチョな言動をするだけでは十分でない。
いくら外国訪問を重ねたところで、パスポートのスタンプの数ではクリントンに勝てない。重要なのは、外国を訪ねて外交政策のアイデアを持ち帰ることだ──記念写真ではなく。
[2015年6月30日号掲載]