最新記事

2016年米大統領選

大統領選共和党候補たちの不安だらけの外国ツアー

2015年6月26日(金)11時00分
ウィリアム・ドブソン

 ウォーカーは、過去の失敗に懲りたのかもしれない。2月には、自分はウィスコンシン州で労働組合に対処した経験があるので、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)にも適切に対応できると発言。共和党のレーガン元大統領による最も重要な外交上の決断は何だと思うかと問われたときは、81年にストライキを行った航空管制官たちを解雇したことだと答えた。

 初期の世論調査では共和党のトップを走っていたウォーカーだが、これで大統領としての資質に疑問符が付いてしまった。

 一方、外国訪問で株を上げた共和党政治家もいる。マルコ・ルビオ上院議員は、11年に上院議員になって最初の2年間で8カ国を訪問。昨年は、アジアの同盟国である日本、韓国、フィリピンを歴訪し、安倍晋三首相とも会談している。13年には、ロンドンの権威ある王立国際問題研究所で講演し、オバマの外交政策を厳しく批判した。

 ルビオの場合は、上院で外交委員会に所属していることに加えて、早い段階から外国訪問を始めていたことが功を奏しているのだろう。
 
 もっとも、共和党の面々にとって最大の試練は、外国首脳と不慣れな会談をすることではない。オバマの外交に代わる説得力ある外交戦略を打ち出さなくてはならない。

 共和党の出馬予定者のほとんどは、もっと力強い外交を主張し、ロシアや中国、ISISに強い姿勢で臨むべきだと言う。しかし、具体的にどういう外交を行うのか。単にマッチョな言動をするだけでは十分でない。

 いくら外国訪問を重ねたところで、パスポートのスタンプの数ではクリントンに勝てない。重要なのは、外国を訪ねて外交政策のアイデアを持ち帰ることだ──記念写真ではなく。

[2015年6月30日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ・メディア、「NYSEテキサス」上場を計画

ビジネス

独CPI、3月速報は+2.3% 伸び鈍化で追加利下

ワールド

ロシア、米との協力継続 週内の首脳電話会談の予定な

ワールド

ミャンマー地震、がれきから女性救出 死者2000人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中