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ウォール街AIG「強欲復活」は米景気回復のサイン?
金融危機のときの大規模救済で「株主が損害を被った」として、米政府を提訴しようとするAIGの論理
盗人猛々しい AIGの背信に、納税者はカンカン Andrew Winning-Reuters
「偽善者賞」というものがあったとしたら、今年の受賞者はアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に決定だろう。
AIGは金融危機のさなかの08年、総額1820億ドルの公的資金による救済を受けた(当時の金融機関に対する政府支援では最大規模だった)。倒産を免れ経営再建を果たせたのもひとえにこの救済のおかげなのだが、今やその救済条件をめぐって政府を訴えようというのだ。
同社は9日に取締役会を開いて、連邦政府を相手取った250億ドルの株主代表訴訟に加わるかどうか検討する。ニューヨーク・タイムズによればこの訴訟は、08年の救済措置の条件は「不当」で、緊急融資に適用された高過ぎる金利は「株主から何百億ドルもの資産を不当に奪い、私有財産を補償なしに公的利用することを禁じる米国憲法修正第5条に違反する」と申し立てている。
AIGの広報担当者は、同社取締役会は「受託者責任を最重要視している」と述べている。訴訟の先頭に立っているのは、AIG元CEOのモーリス・グリーンーグ率いる投資会社で、かつてAIGの主要株主だったスター・インターナショナルだ。政府はコメントしていない。
広告キャンペーンの皮肉な中身
ニューヨーク州司法長官時代にAIGの不正会計を追及した元同州知事のエリオット・スピッツァーは、この訴訟を「国民に対する侮辱だ」と一喝。すぐさまAIGへの非難が巻き起こった。
ニュースサイト「ザ・ヒル」によれば、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)も今回の件を「とんでもなく非常識」と非難。「危機のただ中にあった彼らを助けようと差し伸べられた手を噛むような所業だ」と語った。
「AIGの無謀な賭けは、経済全体を破壊しかねなかった」と、上院銀行委員会の委員を務めるウォーレンは言う。「国中の納税者がAIGを破綻から救った。その企業が、救済措置が十分に寛大でなかったという理由で連邦政府を訴えるなどありえない」
皮肉なことにAIGは今月、新しい広告キャンペーンを開始したばかり。金融危機の間、自分たちを支えてくれたアメリカ政府と納税者に感謝するという内容だ。
ただ、ウォール街がかつての強欲さを取り戻したとすれば、それこそアメリカ景気復調のサインかもしれないが。
From GlobalPost.com特約