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スポーツマスターズを揺るがす「女人禁制」騒動
名門ゴルフクラブは創設以来80年間貫いてきたルールを曲げて、ついに女性会員を認めるか
男の世界 昨年のマスターズで初優勝し、前年の勝者フィル・ミケルソン(左)からグリーンジャケットを着せてもらうカール・シュワルツェル(11年4月) Brian Snyder-Reuters
4月5日に男子ゴルフのマスターズ・トーナメントが華々しく開幕するのを前に、その主催者であり会場となる米ジョージア州の名門ゴルフクラブ「オーガスタ・ナショナル」に暗雲が立ち込めている。同クラブが創設以来守り抜いてきた、「会員は男性だけ」というルールの変更を迫られているのだ。
オーガスタ・ナショナルはこれまで、マスターズのスポンサー各社のCEOたちを同クラブの「会員」としてトーナメントに招待してきた。CEOたちはマスターズの優勝者に贈られるあの「グリーンジャケット」を着て、会場を自由に歩いたり、プレーすることを許されている。
米IBMも、長年マスターズのスポンサーを務めてきた企業の1つだ。しかし今年初め、IBM初の女性トップとして、バージニア・ロメッティがCEOに就任。それに伴ってオーガスタ・ナショナルは、オーロメッティを会員に迎えるべきかという難題に直面している。同クラブは1934年の創設以来、1度も女性会員を認めたことがない。
IBMにも批判の矛先が
およそ300人にのぼる会員には、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツや著名投資家のウォーレン・バフェット、ルイス・ガースナー元IBM会長兼CEO、アメリカン・エキスプレスCEOのケネス・シェノルト、シティグループ元会長のサンフォード・ワイルなど、そうそうたる顔ぶれが名を連ねる。IBMの歴代CEOたちも、全員メンバーだと言われる。
「オーガスタは、あらゆる意味でジレンマに陥っている」と、エール大学法科大学院の上級研究員でジャーナリストのマルシア・チェンバースはブルームバーグに語った。「ある会社のCEOを会員にするという伝統があるのなら、それは新しいCEOにも適用されるべきだ。彼女(ロメッティ)にIBMの歴代CEOと違うところがあるとすれば、女性という点だけだ」
IBMとマスターズの広報はこの件に関し、ブルームバーグの取材に応じなかった。
「女性禁制」というオーガスタの方針を以前から批判してきた人権活動家マーサ・バークは、ロメッティが会員として認められなければIBMはスポンサーを降りるべきだと主張している。
オーガスタの伝統は「時代遅れで、IBMの価値観とは相入れない。IBMの取締役会はこのようなクラブとは距離を置く責任があったにもかかわらず、何もしてこなかった」と、バークはゴルフダイジェスト誌に語った。「もし取締役会が何の行動もとらないというのなら、それは新CEOに対する侮辱だ」。