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格差ゲイツ=バフェット、慈善のなかの偽善
中国まで行って寄付集めもいいが、金持ちのためのブッシュ減税を諦めたほうが社会のためだ
長者番付1位と2位 チャリティーパーティーの前日、北京の投資先を訪問したバフェット(左)とゲイツ(9月29日) Jason Lee-Reuters
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツと著名投資家ウォーレン・バフェットの訪中が一定の成功を収めたのは喜ばしいことだ。億万長者は個人資産の最低半分を慈善事業に寄付しようという2人の呼びかけに、中国の多くの大富豪が「寛大な贈り物」を約束したようだ。米長者番付の1位と2位を占めるスーパーリッチ慈善コンビがこうして集めた資金は既に1500億ドルに達している可能性もあるという。
ひと握りの大富豪に自主的に資産を寄付させて所得格差の解消に役立てようという行為自体には、けちのつけようがない。それでも、ゲイツとバフェットの追い風になっている慈善ブームには落とし穴もあることは認識しなければならない。
世界の問題を解決するためにどう資産を分配すべきかの判断をゲイツら一部の大金持ちに委ねるのは、金で政治的影響力を買ったり金儲けのために社会を利用することを許すのと同じくらい不公平だ。どれだけ善意であっても、彼らが誰の監視も受けない権力であることに変わりはない。人間だから偏見だって持っている。
慈善は公共部門と共に社会のニーズを満たす有効な手段だが、それも時には、金持ちの政治的な目的を達成するための隠れ蓑に使われるかもしれない。社会保障費はもっと削れるとか、金持ち増税は必要はないとか、現在の経済システムに内在する不平等も問題ない、等々......。
将来の世代にまともな人生を
もちろん巨額の寄付をしてくれる億万長者は賞賛されるべきだ。だが同時に、たった千人の大富豪に最貧困層25億人に匹敵する富が集中し、世界60億人の天上に君臨してしまうような欠陥システムの修正も忘れてはならない。
寛大な億万長者には、さらに多くを求めるべきかもしれない。たとえば、大金持ちが下々に押し付けている所得税負担について、もっと庶民の発言権が強くなるよう運動してもらおう。
実際税制改革は、中間選挙へ向けて画期的かつ感動的なテーマになるだろう。アメリカの高額所得者が結束して、ブッシュの金持ち減税を予定どおり10年末で期限切れにさせるために戦うのだ。そうすれば、少数の金持ちを繁栄させるために孫子の分まで国が借金しなければならないシステムは変わる。
将来世代が親の世代の借金の返済に汲々とするのではなく、まともに暮らしを立てられるチャンスを与える──それこそ、本当の慈善だろう。
Reprinted with permission from David J. Rothkopf's blog, 1/10/2010.©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.