嘘と煽動のペイリン劇場
アメリカの繁栄と没落は、科学技術や高等教育、現代性に関する優位を維持できるかどうかに懸かっていると言っていい。こうした必要不可欠な要素の一部は歴史的な経緯から、大都市と非宗教的な研究・教育機関、そして「悪名高き東海岸」に集中せざるを得ない。
資本主義と同じように、現代性も時に痛みを伴う。そして自分たちは軽視されているとか、取り残されていると感じるグループは常に存在する。
保守主義の父と言われる18世紀イギリスの政治家エドマンド・バークがいみじくも指摘したように、まともな政治家の職務はそのような人々を理性的に説得することであり、彼らの「拡声器」になったり腹話術師のような役目を果たすことではない。
ペイリンは自分の生きている間に世界の終末とキリストの再臨があると確信しているという(この見方を明確に否定した支持者はまだ1人もいない)。この点を除けば、しっかりした政治的信念を心の奥に持ち合わせているようには見えない。
私の言いたいことはこれで分かってもらえるだろう。ペイリンは残りの人生を民間人として生きるべきだ。
[2009年12月16日号掲載]