アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな重力の謎
Einstein's Theory of General Relativity Faces Challenge
アインシュタインの一般相対性理論によると、質量をもつ物体は時間と空間を歪める。ベッドの上にボウリングボールを置くとマットレスが変形するように。
宇宙の織り成すこの変形が、我々の経験している重力だとアインシュタインは説く。
例えば惑星や恒星のような物体の周辺の時空の歪みは、それ自体の小さな「重力井戸」の中にある。
その井戸を通過した光がまるで拡大鏡を通過したように屈折する現象は、重力レンズと呼ばれる。
一般相対性理論のこの側面は、同理論が発表された4年後の1919年、日食の際に行われた実験を通して確認された。
イギリスの天文学者アーサー・スタンリー・エディントンとフランク・ワトソン・ダイソンは、太陽の重力井戸が遠く離れた恒星からの光を屈折させることを実証した(日食で太陽が遮られている間に観測)。まさに相対性理論が予測した通りだった。
屈折率は、空間とともに時間の屈曲を考慮しなかったニュートン物理学の予測の約2倍だった。
それでも普遍的なスケールでアインシュタインの理論が正しいのかどうかという疑問は残る。
今回の研究では「ダークエネルギーサーベイ」のデータを利用した。同プロジェクトは、暗黒エネルギーと呼ばれる目に見えない謎の力の作用とされる宇宙の膨張の加速を測定している。
「これまでダークエネルギーサーベイのデータは、宇宙の物質の分布を測定するために使われてきた」。論文を執筆したUNIGEの宇宙学者カミーユ・ボンバン教授はそう解説する。「我々の研究では、このデータを使って時間と空間の歪みを直接的に測定し、我々の発見とアインシュタインの予測を比較することができた」