裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調査でここまで「謎」が解けた
Secrets of a 300-Year-Old Shipwreck
一方、乗組員たちは水先案内人の責任を指摘した。その人物が右舷と左舷を勘違いして誤った針路を指示するという重大なミスを犯したために、船が沈没するに至ったというのである。
今年行われたプロビデンツ号の調査に参加したノルウェー海洋博物館の海洋考古学者ヨルゲン・ヨハンネセンが本誌に語ったところによれば、一部の乗組員が酒に酔っていたことは十分にあり得るが、沈没の最大の原因は水先案内人の指示ミスである可能性が高いという。
西欧の交易ネットワーク
プロビデンツ号はこれまで300年の間、海の中で行方不明になったままだった。マンダルのダイビングクラブのメンバーが沈没船の残骸を発見したのは、2020年12月のことだ。「地元のダイバーたちは40年以上、(プロビデンツ号の)残骸を探していた」と、ヨハンネセンは言う。
沈没船の残骸が見つかるとすぐ、ヨハンネセンらは調査に着手した。「最初に行ったのは、盗まれやすそうな遺物をいくつか回収することだった」と、ヨハンネセンは言う。
「船体と建造方法も調べたいと考えた。それに、この沈没船が本当にプロビデンツ号なのかを確認したかった。調べてみると、この船は間違いなくプロビデンツ号だと分かった。理由は、『コーク』という文字が記された陶製パイプが2つ見つかったこと。コークはプロビデンツ号が出航した港の名前だ」