ツイッター新CEOの「楽観主義者」ヤッカリーノとは何者なのか?
ヤッカリーノ(右)は広告業界の実力者で、マスク流には好意的? FROM LEFT: CLIVE MASONーFORMULA1/GETTY IMAGES, SANTIAGO FELIPE/GETTY IMAGES
<ツイッターの魅力的買収に注目してきたと語る、新CEO。多くの広告主が離れ、売り上げが激減したツイッターを本当に救えるのか? 泥船の出港はいかに...>
ようやくツイッターの新しいトップが決まった。オーナーのイーロン・マスクが自身の後任として、ツイッターの運営会社であるX社のCEOに選んだのは、リンダ・ヤッカリーノ。メディア大手NBCユニバーサルの広告部門トップを務めてきた人物である。
昨年10月にマスクが買収して以降、ツイッターでは広告主の流出が深刻化している。その点、ヤッカリーノはメディア広告の世界で屈指の実力者だ。ツイッターが広告主の信頼を回復し、広告収入を取り戻す上では、うってつけの人材と言えるかもしれない。
しかし、こんな声も聞こえてくる。このタイミングで、あのイーロン・マスクの下でツイッターの舵取り役を好きこのんで務めたいと思う人などいるのだろうか、と。
昨秋の買収以降、マスクは過激な発言を繰り返す一方で、ツイッターの社員を大量に解雇し、サービスの内容を次々と変更してきた。その結果、有力なユーザーから相次いで背を向けられ、大規模なリストラの影響によりサービスにも混乱が生じている。
その上、マスクはツイッターを万能アプリ「X」に進化させるという壮大な野心を示している。おまけに、マスクの陰謀論的主張や不愉快な発言に対する批判は絶えない。
こんな会社のCEOに就任するのは、沈没しつつある船の船長を引き受けるのに等しいではないか。しかし、ヤッカリーノ自身は、メディア業界の幹部たちの中では誰よりも、マスクの下でのツイッターに対して楽観的な見方を示していた。
昨年11月に広告業界のイベントでスピーチをした際には、マスクに「少し時間を与えるべき」だと発言している。そして「(マスクが)失敗するほうに賭ける」つもりにはなれないと述べ、ツイッターの「魅力的」買収に「注目してきた」と語った。
ツイッターの新CEOは、どのような人物なのか。現時点で分かっていることをまとめてみよう。
■CEOを引き受けた動機は?
ヤッカリーノは、広告業界で極めて高い評価を得ている人物だ。この業界において「最も力がある女性」のリストの類いにもたびたびランクインしてきた。
ヤッカリーノは、しばらく前から、自身のキャリアの次のステップとして大手メディア企業のCEOの座に意欲を持っていたようだ。