超加工食品 脳の快感回路に作用する危険性を、欧米科学者が警告

KILLED BY FAKE FOOD

2022年1月31日(月)11時05分
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)

220201P18_KKS_06.jpg

過剰な糖の摂取のせいで子供たちも糖尿病や脂肪肝に GORDON CHIBROSKI-PORTLAND PRESS HERALD/GETTY IMAGES

「子供たちが2型糖尿病や、かつてはアルコールが原因の病気だった脂肪肝を発症するようになったのも無理はない」と、ラスティグは言う。

「果糖がミトコンドリアにとって毒であることは、既に分かっている。果糖は肝臓で脂肪になる。また、肝臓における代謝のされ方がアルコールとそっくりだ」

だが、糖よりもひどい害をもたらしているのが精白された穀物だ。

精白穀物はコーンフレークや白いパンをはじめとする多くの加工食品に使われているが、表皮と胚芽が取り除かれているせいで、ほぼ糖質しか含まれていない。そしてこの糖質は、外皮に包まれた全粒穀物のそれよりもはるかに短時間で消化される。

「口に入れるや否や分解が始まり、胃を通過するまでにほぼ完全に消化されている。そして小腸にたどり着いた頃には完全に吸収されている」と、タフツ大学栄養学部のダリウシュ・モザファリアン学部長は言う。

消化が速すぎるせいで、消化器系が健康的に機能するために重要な腸内細菌に十分な栄養が届かない。

これが原因で腸透過性が高進し、細菌や毒素が血流に入り込みやすくなり、その結果として広汎な炎症が引き起こされる恐れがある。これはセリアック病や糖尿病、ぜんそく、アルツハイマー病や癌などさまざまな病気の発症要因となる。

また、すぐに消化・吸収されるせいで血中にブドウ糖が大量に流れ込み、インスリンのレベルが急上昇する。これは長期的に見て、ホルモンシステムの調節異常につながる可能性がある。

そうなるとホルモンは、体を機能させるのに必要なカロリーが不足してでも脂肪をたくさん蓄えるよう命令を出すようになる。エネルギー不足になった体は、食べ物を強く欲するようになる。過食の人の飢餓感がいくら食べても解消しない理由はここにある。

肥満と依存症の意外な関係

「肥満の患者を多数診てきて思うのは、何を食べるかの選択については、効果を実感すると人は大いに自制心を働かせることができるということだ」と語るのは、ハーバード大学医学大学院および同大学公衆衛生学部のデービッド・ラドウィグ教授。

「難しいのは、常にとてつもない飢餓感にあらがうことだと思う」

食生活を変えれば脳も変わるかもしれないと考える専門家もいる。過食の原因となる異常な食のパターンと脳との間の配線を直すのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機のTOB価格「変更する意向なし」=トヨタグ

ワールド

新START失効なら世界が警戒すべき事態=ロシア前

ワールド

中国春節帰省・旅行ラッシュ始まる、連休長期化で消費

ワールド

インドネシアCPI、1月は前年比+3.55% 23
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 7
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 8
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中