超加工食品 脳の快感回路に作用する危険性を、欧米科学者が警告

KILLED BY FAKE FOOD

2022年1月31日(月)11時05分
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)

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過剰な糖の摂取のせいで子供たちも糖尿病や脂肪肝に GORDON CHIBROSKI-PORTLAND PRESS HERALD/GETTY IMAGES

「子供たちが2型糖尿病や、かつてはアルコールが原因の病気だった脂肪肝を発症するようになったのも無理はない」と、ラスティグは言う。

「果糖がミトコンドリアにとって毒であることは、既に分かっている。果糖は肝臓で脂肪になる。また、肝臓における代謝のされ方がアルコールとそっくりだ」

だが、糖よりもひどい害をもたらしているのが精白された穀物だ。

精白穀物はコーンフレークや白いパンをはじめとする多くの加工食品に使われているが、表皮と胚芽が取り除かれているせいで、ほぼ糖質しか含まれていない。そしてこの糖質は、外皮に包まれた全粒穀物のそれよりもはるかに短時間で消化される。

「口に入れるや否や分解が始まり、胃を通過するまでにほぼ完全に消化されている。そして小腸にたどり着いた頃には完全に吸収されている」と、タフツ大学栄養学部のダリウシュ・モザファリアン学部長は言う。

消化が速すぎるせいで、消化器系が健康的に機能するために重要な腸内細菌に十分な栄養が届かない。

これが原因で腸透過性が高進し、細菌や毒素が血流に入り込みやすくなり、その結果として広汎な炎症が引き起こされる恐れがある。これはセリアック病や糖尿病、ぜんそく、アルツハイマー病や癌などさまざまな病気の発症要因となる。

また、すぐに消化・吸収されるせいで血中にブドウ糖が大量に流れ込み、インスリンのレベルが急上昇する。これは長期的に見て、ホルモンシステムの調節異常につながる可能性がある。

そうなるとホルモンは、体を機能させるのに必要なカロリーが不足してでも脂肪をたくさん蓄えるよう命令を出すようになる。エネルギー不足になった体は、食べ物を強く欲するようになる。過食の人の飢餓感がいくら食べても解消しない理由はここにある。

肥満と依存症の意外な関係

「肥満の患者を多数診てきて思うのは、何を食べるかの選択については、効果を実感すると人は大いに自制心を働かせることができるということだ」と語るのは、ハーバード大学医学大学院および同大学公衆衛生学部のデービッド・ラドウィグ教授。

「難しいのは、常にとてつもない飢餓感にあらがうことだと思う」

食生活を変えれば脳も変わるかもしれないと考える専門家もいる。過食の原因となる異常な食のパターンと脳との間の配線を直すのだ。

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