最新記事
SDGsパートナー

人にも、牛にも、環境にもやさしい酪農業へ カネカが取り組む「有機循環型酪農」とは

2024年10月29日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
別海ウェルネスファーム

北海道野付郡別海町にある「別海ウェルネスファーム」

<後継者不足や飼料価格の高騰など、厳しい状況に置かれている日本の酪農業。カネカは「有機循環型酪農」を実践することで、生乳の付加価値を向上させ、持続可能で魅力ある酪農を広げていこうとしている>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


日本の酪農業は厳しい状況に置かれている。飼料・燃料価格の高騰、労働力不足、後継者不足。多くの課題に経営を圧迫され、酪農家数は1981年からの40年間でおよそ9割も減少した。

農林水産省の食料需給表(令和4年度確定値)によれば、「牛乳および乳製品」の純食料(野菜の芯や魚の頭部などの、不可食部を含まない食料品の重量)は約1174万トン。これは米や麦などの「穀類(約1052万トン)」や「野菜(約1097万トン)」よりも多い。実は私たちは酪農由来の食料品を最も多く食べているのだ。そんな日本の食の基盤が今、揺らいでいる。

人・牛・環境にやさしい酪農を実現するために

酪農業への貢献に手を挙げたのは、意外にも大手総合化学メーカーのカネカだった。

住宅・自動車・電子機器における素材をはじめ、医療機器や医薬品原料など幅広い事業を展開している同社は2018年に乳製品事業に参入し、21年には北海道東部の別海町に有機専用牧場「別海ウェルネスファーム」を開設。22年には有機JAS認証を取得し、23年から有機乳製品第一号となる「ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト」の販売を開始している。

カネカの取り組みの要となっているのが「有機循環型酪農」の実践だ。

放牧やフリーストール飼育によって、乳牛は牧草地や牛舎内を自由に歩き回ることができ、ストレスの少ない環境で育てられる。また自動搾乳機では、乳牛に装着したICチップにより健康データの詳細を取得し、搾乳過多を防ぐことや体調不良を早期に発見することが可能になった。現場作業の省力化と乳牛の健康管理を両立している。

さらに乳牛の排泄物は堆肥として再利用。牧草の有機飼料栽培に役立てるなど、資源を循環させるシステムを確立している。

カネカが実現しようとしているのは、人・乳牛・環境のすべてにやさしく、魅力的な酪農だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中