最新記事

ライフスタイル

高層タワマン全戸で「トイレ一斉使用」 その時、何が起きる?

2021年1月31日(日)12時20分
神舘 和典(ジャーナリスト) 西川 清史(編集者) *東洋経済オンラインからの転載

高層マンションでトイレを一斉に流すと何が起きる? iNoomiPhoto - iStockphoto


生きている限り、私たちは毎日何度もトイレへ向かう。流して終了。しかし、ちょっと考えてみると、知らないことだらけです。流したものはどこへ? どうやって処理? そのために誰が、どんな苦労を? いつのまに日本は「トイレ最先進国」に? ジャーナリストの神舘和典氏と文藝春秋の前副社長で編集者の西川清史氏が、あらゆる疑問を徹底取材したルポ、『うんちの行方』から抜粋・再構成して紹介します。


TOTOの東京オフィスで取材を終えた帰り道、まわりのマンションを眺めながら、共著者の西川さんが妙なことを言い出した。

「あの高層マンションのすべての部屋で一斉に排泄して水を流したら、どうなるかな? 低層階のトイレからウンチが噴出するんじゃなかろうか?」

「全フロアのトイレで同時にするなんて起こりませんよ」

「うん、現実的には起きないかもしれない。でも、マンションの住民集会で日時を決めていっせいに流しましょう、と決議して実践したら、下の階であふれるんじゃないかな?」

「なんでそんなバカバカしいことを住民集会で決めなくちゃならないんですか。そもそもそうならないように設計されているんじゃないですか」

「知りたい!」

「誰に聞きにいくんですか? いやがられますよ」

「どうしても知りたい!」

一斉に流したら下の階であふれる??

そういうと、西川さんは必死になって取材先を探し始めた。その情熱はちょっとよくわからない。

その翌週、東京都心にある不動産会社を訪ねた。その名を聞けば誰でも知っている有名な分譲マンションを全国的に手掛ける大手不動産会社だ。取材は西川さんがセッティングした。

対応してくれたのは、商品企画室室長。こんなくだらないことを室長にお聞きしてもいいものかどうかひるんだ。

「あのー、唐突におうかがいしますが、高層マンションの全戸のトイレを一斉に流したら、下層階であふれるでしょうか? 理屈で考えると絶対に配管が詰まって、下層階で噴出するんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょうか?」

西川さんが質問する。率直すぎるほど率直である。よほど知りたかったのだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

官僚時代は「米と対立ばかり」、訪米は隔世の感=斎藤

ビジネス

全国コアCPI、3月は+2.6% 年度内の2%割れ

ワールド

ロシアが政府職員の出国制限強化、機密漏洩を警戒=関

ビジネス

G20、米利下げ観測後退で債務巡る議論に緊急性=ブ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中