大谷翔平をベーブ・ルースやテッド・ウィリアムズなどの過去の名選手たちと比べたら?
PUT THE BALL IN PLAY!
これらの名選手と大谷を、5つの通算成績の指標から評価する。①打率、②出塁率、③1本塁打当たりの打数、④三振1個当たりの打数、⑤1盗塁当たりの試合数。もちろん、過去の名選手は大谷の3倍の約20年間、MLBで最高レベルのプレーを続けたことを忘れてはならない。
①打率
大谷の打率は、MLBでのキャリアの大半を投手と野手の二刀流でプレーしてきたことが影響しているのかもしれない。打者に専念している今季の打率は、キャリア平均を2〜3分上回る。それでも他の偉大な選手たちの数字は、アベレージヒッターとしての大谷よりかなり上だ。
②出塁率
メイズ、ヤストレムスキー、大谷の3人の数字はかなり近い。偉大な選手たちだが、この指標でもっと偉大な選手たちとの間には開きがある。大谷の出塁率がいまひとつなのは、打者がフェンス越えを狙ってバットを振り回し、三振が容認される時代にプレーしているからではないか。
③1本塁打当たりの打数
この指標で大谷を上回るのはルースだけだ。選手の偉大さを測る物差しは「第一線で活躍した期間の長さと通算成績」と言って差し支えないはずだが、対戦する投手にとってどれほど危険な打者であるかを正確に測るには、こちらの指標のほうが正確だろう。一発が怖い打者という意味で、大谷の右に出る選手はほとんどいない。
しかし長打が重視され、三振が許容される現代とは異なり、ルースが11.8打数に1本の本塁打を打っていた時代は、本塁打の数自体がはるかに少なかったことは覚えておいていいだろう。
④三振1個当たりの打数
「ホームラン狙いでバットを大振りすることがチームの勝率アップにつながる」という考えに同意できないのは、私も父と同じだ。
大振りした挙げ句に三振したら、得点につながらない。ベンチに戻るついでにヘルメットを地面に投げ付け、いら立ちをマッチョに表現したところで意味はない。こういうとき、父は「かっこつけてんじゃないぞ。ボールを前に転がせ!」と言っていた。
さて三振1個当たりの打数、つまり何打数に1回、三振を取られたかという指標で見ると、ウィリアムズの記録は「史上最も偉大な打者」の名にふさわしいものだ。彼は無駄振りをしない選手で、三振で打席を終わることはさらに少なかった。この点、ホームラン狙いの大振りが求められる現代に生きる大谷は分が悪いかもしれない。
でも私が思うに、昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝で日本がアメリカに勝利したのは、スモールボールに秀でていたおかげではなかったか。