常勝軍団の家族秘話...大谷翔平のチームメイトたちが明かした、ドジャース流「家族ぐるみ」のお付き合い
8月28日の始球式に登場したデコピンは大役を果たして大谷とハイタッチ HARRY HOW/GETTY IMAGES
<大谷の愛犬デコピンが始球式に登場したのはなぜ? ドジャースの強さの背景には、球団あげての家族サービスがあった>
8月下旬、大谷翔平選手の愛犬デコピンの完璧な始球式が話題になったことは記憶に新しい。一方で、「なぜ愛犬が始球式に......?」と不思議に思った人もいるかもしれない。
実はあれは、ドジャース流の家族サービスの1つ。勝つためにチーム一丸となって貪欲に努力し続けるこの球団には、裏で支える選手らへの家族にも手厚いケアをすることで知られている。
「ドジャースは、僕がこれまでいた球団の中でも特に家族に対する意識が高い」と話したのは、7球団に所属経験があるドジャースのベテラン投手、ダニエル・ハドソンだ。子供たちを球場に連れて行きやすくしてくれたり、家族行事を作ってくれたり、忙しい選手が野球に少しでも集中できるよう家族サービスを手助けしてくれることがとても有難いと言う。
ドジャースの公式SNSを見ると、ファミリーデイ、始球式、チャリティーイベント、ベビーシャワーなど、選手の活躍だけでなく、パートナーや子供たちも頻繁に登場する。大リーグのシーズンは長く、どの球団も選手が家族と過ごせる時間を少しでも作れるようとさまざまな企画を考えるが、特にドジャースは家族やコミュニティー向けの活動がとても盛んなのだ。
そのうちの1つが、来場者限定で選手のボブルヘッド人形が配られる日。ドジャースは、ボブルヘッドとなった選手のパートナーや子供たちに始球式で投手役を務めてもらうことで家族にも光を当てる。ドジャースほど年間でボブルヘッドが配られる球団もないが(今季は19体)、日ごろからそんな風に家族が始球式に出てくるのを見ていた大谷にとって、デコピンに始球式をやらせようと思ったのは実に自然な流れだったようだ。
ドジャースタジアムの造りが古いこともあり、選手も選手の家族も報道陣も一般と同じエレベーターを使うので、日頃から家族の姿をよく目にする。夏休みになれば、選手の子供たちが何人もクラブハウスを我が物顔で歩いている。
「僕らの生活は家族と離れている時間が本当に長い。だからつい、野球にフォーカスし過ぎてしまう時がある。でも子供たちが近くにいると、野球漬けの生活が少しノーマルに感じる。だから、ドジャースがいつも家族が来やすい環境を作ってくれていることはすごくありがたい」
ハドソンはそう語る。彼には3人の幼い娘がいるが、ドジャースは男の子だけでなく女の子も球場に入りやすい雰囲気を作ってくれると言う。
「7月にドジャースが試合後に『Daddy Daughter Night(パパと娘の夜)』を企画してくれて、娘たちと初めてクラブハウスで楽しい時間を過ごした。男の子たちはよくここに来ているけど、僕に男の子はいないからね。うちの子たちが、ロッカールームの雰囲気やパパが毎日どんなことをしているかを理解するきっかけになってくれて嬉しかった」と笑顔を見せた。