最新記事
MLB

常勝軍団の家族秘話...大谷翔平のチームメイトたちが明かした、ドジャース流「家族ぐるみ」のお付き合い

2024年10月4日(金)14時40分
青池奈津子(MLBライター)

「妻のカーラが球場に来ていると嬉しくなるね」と言ったのは、ドジャースの生え抜きで今春、10年1億4000万ドルの契約延長をしたキャッチャーのウィル・スミス。日ごろは無表情なスミスが、カーラさんの話を振ると饒舌になった。

「妻は僕には絶対的に必要な存在。今は2歳になる娘の面倒を見ながら、僕が毎日野球をしやすい生活環境を整えてくれる。僕らが立ち上げたNPOの企画やスタッフとの打合せも中心となってやってくれている。裏方の仕事が多くて、ストレスも多い立場だけど、彼女だからうまくこなせる」


ケンタッキー州ルイビル出身の2人は、カーラさんが結婚前に低所得者層の小学校で教員をしていた経験から、経済的理由や家庭の事情で機会が得られない子供たちを助けたい、と2021年にNPO「キャッチング・ホープ」を設立。シーズン中でも夫婦でアイデアを出し合い、次の企画を考えているという。

「僕らの生活は毎日午後1時頃から夜11時過ぎまで家に帰れなくて、オフシーズンはあるものの、162試合の半分は遠征で各地を飛び回っている。1週間ごとにしか帰れないから、どうしても家族が犠牲になってしまう。だから妻と娘には可能な限り球場に来て欲しいし、ドジャースの環境づくりに感謝している」

スミスの言葉に、シーズン中の選手がどのくらい自宅で過ごせるかを分かる範囲で数えてみた。

24年のドジャースの場合、開幕戦が韓国であったため、今季はホームであるドジャースタジアム開催の試合が80試合、ナイターが60試合、夜は自宅に帰れるデーゲームが20試合。オフ日は25日あるが、それもドジャースは移動日であることが多いため、それを除いたら、3月下旬の開幕から6カ月間で自宅でゆっくり過ごせそうな日はわずか8日しかない。それこそ、球場に家族を呼ばなければ、一緒に過ごせる時間は本当に少ないのだ。

「その分、僕らは良い給料をもらい、家族を養える」と言うのは、子供の学校のために家族をマイアミに残し、ロサンゼルスでは単身赴任をしているミゲル・ロハス内野手。「僕はベネズエラにいるファミリーも野球で養っているから、今は仕事をすることがプライオリティー。それを理解し、支えてくれる妻がいるから、僕は幸せ者だよ」

ロハス家は夏休み中や、選手チャーター機に家族も乗れる「ファミリー・トリップ」という球団企画にも参加し、レギュラーシーズン中は25~30試合ほど観に来ると言う。

「ドジャースの奥様会やコミュニティーはかなり大きくて、テキストやEメールなどを通して常に繋がっている。球団がさまざまな催しを開いてくれるから交流が図りやすいみたい。息子が球場でほかの子供たちと遊んでいる姿を見ると幸せな気持ちなるよ」とロハスは語る。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者、ミサイル攻撃正当化 「最低限の罰

ワールド

オバマ元大統領、ハリス氏応援で選挙運動開始へ=米紙

ワールド

中国製EV関税案、加盟国から必要な支持獲得 交渉は

ビジネス

英中銀、段階的な利下げを 高金利は投資圧迫せず=ピ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大谷の偉業
特集:大谷の偉業
2024年10月 8日号(10/ 1発売)

ドジャース地区優勝と初の「50-50」を達成した大谷翔平をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平が「花開く」瞬間...「彼はロボットではなくチームメイト」
  • 3
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 4
    NewJeansミンジが涙目 夢をかなえた彼女を待ってい…
  • 5
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシ…
  • 6
    米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシ…
  • 7
    サッカーユニから胸を「まる出し」、下は穿かず...人…
  • 8
    年収600万円、消費者金融の仕事は悪くなかったが、債…
  • 9
    原点は「ナチスの純血思想」...オーストリアで自由党…
  • 10
    8日間のはずが8カ月に...宇宙飛行士の「足止め騒動」…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 3
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 4
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 5
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 6
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 7
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平…
  • 8
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 9
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 10
    南洋のシャチが、強烈な一撃でイルカを「空中に弾き…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 5
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 9
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 10
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中